ドライバーの運転パターンをAIでモニタリング、QNXとサイランスの技術を融合:オートモーティブワールド2020
ブラックベリー(BlackBerry)は、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、グループ傘下のQNXとサイランス(Cylance)の技術を融合したソリューションを披露した。
ブラックベリー(BlackBerry)は、「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、グループ傘下のQNXとサイランス(Cylance)の技術を融合したソリューションを披露した。
展示では、コネクテッドカーやMaaS(Mobility as a Service)の普及によって活用が広がる自動車を管理するオぺーレーションセンタ向けに、車載ソフトウェアに用いられているOSS(オープンソースソフトウェア)の脆弱性(CVE)に適切にアップデート対応するソフトウェアリリースマネジャー向けや、ユーザーの利用状況を管理するフリート運用分析者向けの管理機能などを披露した。
まず、ソフトウェアリリースマネジャー向けの管理機能では、ブラックベリーのバイナリーコード静的解析ツール「Jarvis」の技術により、各車両の車載ソフトウェアの脆弱性を把握できる。脆弱性の深刻度などに合わせて、アップデートなどを検討できる。また、QNXのハイパーバイザー上で運用されるAndroidシステムについては、機械学習ベースで脆弱性保護を適切に行うサイランスの「CylancePROTECT」を利用できる。
フリート運用分析者向けの管理機能では、サイランスがエンタープライズITシステム向けに開発中の「CylancePEROSONA」を横展開する準備を進めている。CylancePEROSONAでは、PCのキーの打ち方やアプリケーション利用の傾向などを機械学習し、そのPCのユーザーのメタモデルを構築する。このメタモデルを基に、現在PCを利用している人物のふるまいをスコア化し、異なる人物がPCにアクセスしていると判断した場合には強制的にログアウトするなどの対応を行う。
このメタモデル構築を、ドライバーの運転パターンに適用したのが「CylancePEROSONA for Vehicles」だ。その車両のユーザーではない人物が運転している可能性が高い場合には、フリート運用分析者やユーザー自身に警告が送られ、運転中のドライバーを撮影したり、車両を強制的に停車したりといった対応が可能になる。「QNXの車載システム向けの知見とサイランスのAI技術を組み合わせたソリューションだ。ドライバーの体調不良などによる異常検知にも活用できるので、ドライバーモニターシステムにもなり得る技術だ」(ブラックベリーの説明員)という。
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