ニュース
青色LEDと新型太陽電池を用いた光無線給電技術を共同開発:組み込み開発ニュース
東京都市大学と東京工業大学は、可視光の青色成分を効率的に電気に変換するペロブスカイト型太陽電池と青色LEDを用いた光無線給電技術を共同開発した。スマートフォンや電気自動車が移動しながら充電できるシステムの構築と実用化が期待される。
東京都市大学は2021年2月10日、東京工業大学と共同で、ペロブスカイト型太陽電池と青色LEDを用いた光無線給電技術を開発したと発表した。
同研究チームは、可視光の中で高いエネルギーを有する青色の成分を効率的に電気に変換する、臭素系のペロブスカイト型太陽電池を開発。青色LEDから約50cm離して同電池を設置し、青色光を無線で送る実験を実施したところ、太陽電池に当たった光エネルギーの20.2%が電気に変換されたことを確認した。
今回開発したペロブスカイト型太陽電池は、シリコン製の太陽電池と異なり、柔軟で曲面にも貼り付けられる他、真空装置を用いずに大気中で製造できる。ただし、現時点では長時間の使用により発電能力が低下するという欠点を有しており、研究チームは今後、長寿命化や変換効率の向上を目指す。
また、研究チームは、同太陽電池と指向性の高い青色LED、青色LEDの向きを追尾する装置を組み合わせた、スマートフォンや電気自動車に無線で給電できるシステムの構築を計画している。同システムの10年以内の実用化に向け、今後、電機メーカーと共同開発を進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 走るクルマからトンネル内のボルトに無線給電、センサーがゆるみ具合知らせる
京都大学とミネベアミツミは2020年10月9日、会見を開き、無線給電技術を活用したトンネル内のインフラ点検の実証実験を開始すると発表した。 - ワイヤレス給電市場は2030年に2700億円、EVが成長の余地大きい、AGVも堅調
矢野経済研究所は2020年5月28日、ワイヤレス給電の受電モジュールや受電機器を対象とした市場調査結果を発表した。2030年に市場規模が2019年比7割増の2739億円に拡大する見通しだ。 - 電界共振結合方式を用いて4.7kWのワイヤレス電力伝送に成功
古河電気工業は、同社の自動車・エレクトロニクス研究所で開発している電界共振結合方式を用いて、13.56MHzで4.7kWの電力を95mmの距離でワイヤレス電力伝送することに成功した。 - 工場内物流の自動化に貢献、400kg可搬の小型AGVがワイヤレス給電で24時間稼働
ダイヘンは「2019国際ロボット展(iREX2019)」に出展し、“工場内物流の自動化に新提案”と題して、400kg可搬の無人搬送車(AGV)「AiTran400」を参考出品した。 - 夢のEV走行中給電に向けて一歩一歩、実用化のカギは「まず、スマホ」
住友電気工業は「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)内の“ちょっと先の未来を紹介する”「FUTURE EXPO」において、自動車向けのワイヤレス給電技術を紹介した。 - ワイヤレス給電インホイールモーターは、大容量バッテリーよりも「トータルコストが安い」
東京大学とブリヂストン、日本精工(NSK)、ローム、東洋電機製造は2019年10月10日、千葉県柏市で説明会を開き、走行中のワイヤレス給電が可能なインホイールモーターの第3世代品を開発したと発表した。