低伝送損失化と多層化を同時に実現、パナがミリ波レーダー向けの新基板材料開発:材料技術
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2021年2月25日、ADASなどに用いられるミリ波帯アンテナ向けの、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグ「ハロゲンフリー超低伝送損失多層基板材料」を販売すると発表。アンテナの低伝送損失化と多層化を同時に実現する。
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2021年2月25日、ADAS(先進運転支援システム)などに用いられるミリ波帯アンテナ向けに、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグ「ハロゲンフリー超低伝送損失多層基板材料」を販売すると発表した。アンテナの低伝送損失化と多層化を同時に実現する。同年3月から量産を開始する予定。
ビルドアップ工法による多層化が可能に
ミリ波レーダーは現在、ADASや自動運転技術の開発、実用化において不可欠な周囲環境認識センサーとして注目度が高まりつつある。この他、5Gの無線通信局でもミリ波帯が用いられるようになっており、こうした市場環境を背景に、ミリ波帯における低伝送損失と多層化を実現し得る無線通信用の基板材料が求められている。
ただこれまで、ミリ波帯アンテナ用基板材料として使われてきたフッ素樹脂は、一般的なプリント基板材料であるエポキシ樹脂などに比べるとミリ波帯での比誘電率や誘電正接は優れているものの、熱可塑性樹脂のため多層化が難しい点が課題だった。
これに対して今回パナソニックが開発した新材料は熱硬化性樹脂を採用しており、絶縁層であるプリプレグと導体層である銅箔を交互に重ねるビルドアップ工法による多層化を可能にしている。高周波基板の設計自由度を向上させるとともに、小型かつ高密度なアンテナ層と高周波回路の信号層を一体化させたモジュールの小型化、高密度化に寄与する。
加えてパナソニック独自の樹脂設計技術を用いたことで、同社が従来販売してきた材料製品と同程度の低誘電特性を持たせるとともに、低粗化銅箔との密着強度も十分なものにした。これによって0.079dB/mm(79GHz使用時)という、熱硬化性樹脂基盤の中では「業界トップレベル」(パナソニック)の低伝送損失を実現したという。
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