非大手製造業でも導入に踏み切れる、安価で価格体系が明確なIoTパッケージ:スマート工場EXPO
MAZINは、「第5回 スマート工場EXPO」において、製造業のモノづくりの各工程にフォーカスした「製造工程IoT化パッケージ群」を披露した。年額で6万円など安価に抑えるとともに価格体系を明確にすることで、非大手の製造業のIoT導入に向けたハードルを下げる狙いがある。
MAZINは、「第5回 スマート工場EXPO」(2021年1月20〜22日、東京ビッグサイト)において、製造業のモノづくりの各工程にフォーカスした「製造工程IoT化パッケージ群」を披露した。年額で6万円など安価に抑えるとともに価格体系を明確にすることで、非大手の製造業のIoT(モノのインターネット)導入に向けたハードルを下げる狙いがある。
「設備稼働監視分析システム」は、旋盤、マシニングセンター、研削加工機などの装置の稼働状態のリアルタイム監視と分析が可能だ。外付けのクランプ式電流センサーを用いることで、手軽にIoTを用いた稼働監視を行えることが特徴。センサーからのデータを収集し、装置の状態の見える化や分析を行うソフトウェアを組み込んだPCとセットで提供する。
稼働監視では定番のアンドン機能やガントチャート機能があり、分析では時系列分析や比較分析が行える。これら標準機能の他、ソフトウェアアップデートにより機能を追加していく予定だという。
センサーとPCをセットにした初期費用は1台当たり15万円で、保守費用は年間1万5000円。センサーとPCのセットは監視対象の装置1台ごとに用意する必要がある。ソフトウェア本体の価格(税別)は、年間ライセンス契約で6万円、ソフトウェアのアップデートは無料。買い切りだと24万円で、この場合ソフトウェアのアップデート費用は年間3万円かかる。
「AIを用いた切削工具状態管理システム」は、工具交換の最適なタイミング、不良の原因となる工具の折れやチッピング、工具の使用状況などを把握するためのAI(人工知能)システムだ。主軸モーターとATC(自動工具交換装置)などの工具切り替えモーターの2カ所に外付けのクランプ式電流センサーを設置し、この電流データとオペレーターが入力する工具交換履歴データをAIに学習させることで摩耗度予測や異常検知を可能にしている。
同システムのAIは、学習に用いるデータの量が多くなってしまうディープラーニングベースのアルゴリズムではなく、ベイズ統計を基にした独自の特許申請中の技術を用いている。「これにより、早い段階でAIを実践的に適用できる」(MAZINの説明員)という。
センサーとPCをセットにした初期費用が1台当たり15万円、保守費用年間1万5000円で、センサーとPCのセットは監視対象の装置1台ごとに用意する必要があるのは設備稼働監視分析システムと同じ。PCに組み込んだソフトウェアを中核とするシステム本体の価格(税別)は、年間ライセンス契約で20万円、ソフトウェアのアップデートは無料。買い切りだと80万円で、この場合ソフトウェアのアップデート費用は年間10万円かかる。
MAZINは2018年6月に創業し、当初は製造業向けのIoTやAIのシステムを受託で開発していたという。その中で「同じ業種、分野、製造工程であれば、標準的なIoTやAIのシステムを提供することで十分に要求を満たせるのではないかと考えるようになった。そこで、非大手の製造業をターゲットに分かりやすい機能と価格体系で、今回の製造工程IoT化パッケージ群を提案することにした」(同説明員)。
2020年2月にリリースしてから1年間で既に20社程度に採用されており、今後も「研削砥石ツルーイング回数最適化システム」や「装置メーカー向けAI組み込みソリューション」などラインアップを拡大させていく方針である。
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