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ラズパイで設備稼働情報を「見える化」するための5ステップラズパイで製造業のお手軽IoT活用(1)(1/2 ページ)

生産現場が特に効率化したいテーマを中心に、小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」を使った、低コストかつ現場レベルで導入できる手法について解説する本連載。第1回は、設備稼働情報を収集、蓄積、可視化して現場の改善につなげる、いわゆる「見える化」の方法を紹介します。

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 IoT(モノのインターネット)について、ここ数年の間で大手製造業を中心に実証実験が多数行われており、先進的な事例も幾つか出てきました。その波は、中堅中小の製造業にも広がっています。しかしながら次のような問題も発生しています。

  • 先進的な事例には多額のコストがかかるため、他の拠点に横展開するためにもっとコストを抑えられないか
  • あれもこれも盛りだくさんのとテーマでシステムを構築したが、生産現場で利用度が上がらない。もっと現実的なテーマに限定していけないか
  • 便利なことは分かったが、具体的な導入手順を説明してほしい……etc.

 このような話は大手、中堅、中小問わず、製造業全体でのニーズと捉えています。そこで本連載は「ラズパイで製造業のお手軽IoT活用」と題して、生産現場が特に効率化したいテーマを中心に、小型ボードコンピュータの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略してラズパイ)」を使った、低コストかつ現場レベルで導入できる手法について解説していきます。

 今回の連載第1回では、工場などでのIoT活用事例として挙がることも多い、設備稼働情報を収集、蓄積、可視化して現場の改善につなげる、いわゆる「見える化」の方法について紹介しましょう。

30年前に購入した加工機が50台

 最近は中小製造業でもIoT活用の意識が芽生えてきており、既存の生産現場の情報を収集、活用して、業務改善を効果的に実施したいという要望を多く聞きます。

 最新の設備を使っているのであれば、ネットワーク接続の機構が最初から用意されているので、市販のPCと同様にケーブルを挿したり、Wi-Fiを設定したりするだけで簡単に設備の信号がとれます。しかし、中小製造業が使用している設備は30年以上使用し続けているものが多く、そのような最新の設備とは事情が異なります。

 ある中小製造業の事例ですが、生産現場に30年前に購入した加工機が50台あり、設備ごとに生産性が大きく異なっていました。生産性が低い原因について、「人の作業上の問題なのか」「1個生産するのに時間がかかっているのか」「設備異常でよく止まるのか」を判断しにくいとのことでした。

 そこで、30年前のNC旋盤についている三層信号灯の情報(自動、警告、異常)を電気的にラズパイに接続し、収集したデータを可視化することにしました。

5つのステップから成る導入手順

 今回のお手軽IoT活用については、次の手順で進めることにしました

  1. 既存の配線図を確認する
  2. 配線図から接続端子の場所を特定する
  3. リレー回路を経由してラズベリーパイに接続する
  4. 接続して収集した情報を画面モニターに表示する
  5. 収集した情報を分析して改善活動に役立てる

 それでは各手順について説明していきましょう。

1.既存の配線図を確認する。

 まずは、信号灯の配線図を入手します(図1)。入手した配線図からは、電源(COMMON)はPEND02、緑(自動)は902、赤(異常)は901端子に接続されていることが分かります。

図1
図1 信号灯の配線図

2.配線図から接続端子の場所を特定する。

 次に、配電盤の中をみて、具体的に端子の場所を確認します(図2)。基本は、赤線で示した箇所でよいのですが、念のために信号灯の電圧と、設備側の端子の電圧を計測して、実配線が配線図通りなのかを確認していただくと確実でしょう。

図2
図2 設備端子の場所の例

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