「スマートテレオートノミー」がリモート化と自律化の課題を相補的に解決する:人工知能ニュース
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、XRとAIなどを組み合わせた自律化により高度な遠隔操作を実現する技術「スマートテレオートノミー」について説明した。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2021年2月10日、オンラインで会見を開き、XR※1)とAI(人工知能)などを組み合わせた自律化により高度な遠隔操作を実現する技術「スマートテレオートノミー」について説明した。
※1)VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界と仮想世界を融合するさまざまな技術の総称
スマートテレオートノミーとは、リモート化を指すテレオペレーションと、自律化を意味するオートノミーをスマートに融合した技術である。NEDO 技術戦略研究センター デジタルイノベーションユニット ユニット長の伊藤智氏は「リモート化と自律化は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応で注目を集めているが、高齢化による労働力不足の解決でも重要な役割を果たすことが期待されている。ただし、リモート化と自律化、それぞれの技術開発にはさまざまな課題がある。スマートテレオートノミーは、リモート化と自律化のそれぞれの課題について、両技術を融合することで相補的な解決を目指すものだ」と語る。
スマートテレオートノミーの技術開発要素としては、「高度なXR」「人間の状態・行動の推定」「部分自律化」などがある。高度なXRでは、遠隔地の視覚や聴覚だけでなく、力触覚や味覚、嗅覚などの情報を伝達する。人間の状態・行動の推定では、AIを活用して離れた相手の感情やニュアンスを推定し、適切な遠隔操作を行えるようにする。そして、部分自律化では、人の指示に基づく遠隔操作の内容をAIが学習することで、自律化の範囲を広げていく。
これらスマートテレオートノミーの適用分野としては、自律動作が困難で非定型作業を行う業務が対象となる。例えば、食品工場などの少量多品種生産の製造業、小売・飲食などのサービス業、そして介護・医療などだ。「災害対応やインフラ点検など難易度が高い現場作業については専門ロボットの研究開発が進んでいる。また、製造業の量産ラインは自動化が進んでおり、飲食、小売におけるカウンター内の接客や定型的な調理は自動化に向けた取り組みが進みつつある。スマートテレオートノミーは、人の近くで活動するとともに、非定型作業が多く、労働力不足が深刻な分野で役立つ技術になるだろう」(伊藤氏)。
NEDOでは、このスマートテレオートノミー関連の事業として「人工知能活用による革新的リモート技術開発」を実施する。期間は2021年度から4年間で、初年度の予算は4億1000万円。3つの技術要素のうち「人間の状態・行動の推定」と関わる「状態推定AIシステムの基盤技術開発」と、「高度なXR」と関わる「高度なXRにより状態を提示するAIシステムの基盤技術開発」が開発テーマになるという。2021年3月上旬に公募を開始する予定だ。
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