連載
疲労解析に挑戦、強度設計における繰り返し荷重を評価する:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(9)(4/4 ページ)
初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第9回は、強度設計において、繰り返し荷重を評価する際に用いられる「疲労解析」を取り上げる。
座屈解析
今回は、圧縮荷重の評価として、座屈についても調べることにしました。
座屈とは
圧縮荷重により、形状が著しく、急激に変形してしまうような“たわみ”が生じる現象のこと。
図8に座屈解析の結果を示します。
座屈解析は、固有値のモードに対して計算が行われます。図8から座屈安全係数を確認できますが、固有値モード1の座屈安全係数は「1.9」となり、この係数では“座屈は発生しない”ということが判断できます。これを言い換えると、“設定した荷重が1.9倍になると座屈が生じる可能性がある”ということです。
1<座屈安全係数 | 座屈は発生しない | 設定荷重が評価基準荷重(座屈荷重)より小さい |
---|---|---|
1>座屈安全係数 | 座屈は発生する | 設定荷重が評価基準荷重(座屈荷重)より大きい |
1=座屈安全係数 | 座屈は発生する | 設定荷重が評価基準荷重(座屈荷重)と等しい |
表2 座屈安全係数による予測 |
実物の事象を考えた場合、必ずしも理想通りに荷重の方向が軸線と一致するわけではありません。また、設計、部品加工、組み立て上のバラツキの中で、軸方向に対して傾きが生じる可能性もあります。ということで、次回は“最悪ケース”も考慮して、荷重の方向に傾きを持たせて再度解析を行いたいと思います。お楽しみに! (次回へ続く)
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