キヤノンが小型、軽量、低価格を狙ったMR用HMDを発売、遠隔ニーズで市場拡大へ:VRニュース
キヤノンは2021年1月26日、現実映像とCGをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」シリーズの新製品として、ヘッドマウントディスプレイ「MREAL S1」を2021年2月下旬に発売すると発表した。
キヤノンは2021年1月26日、現実映像とCGをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」シリーズの新製品として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)「MREAL S1」を2021年2月下旬に発売すると発表した。
市場拡大を推進するために小型、軽量、低価格を推進
キヤノンは2012年からMR事業を展開しており現在までに3機種の製品を販売し、約70社に導入してきたという。新製品はこれらの導入企業の意見などを踏まえて開発を行ったという。「AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を含むXR(ARやVR、MRなどを含めた総称)市場は今後急速に拡大する見通しとなっている。コロナ禍によりリモートでの業務をより高度化したいというニーズも高まっており、MREALへの引き合いも強くなっている。こうした中でMRの用途を広げ、市場拡大を進める意味で、小型、軽量、低価格という3つの点を目標に開発を進めた」(キヤノン)としている。
「MREAL S1」は、構造を見直すことで、ヘッドマウントユニットを含む本体サイズを約186(幅)×250(奥行き)×138(高さ)mm、質量約338gとした(ディスプレイ部のみの大きさは約154×37×74mm、質量約137g)。キヤノンのHMDとしては従来に比べて最も小さく軽い。小型化と軽量化により、使用時の負担を軽減し、装着時にも軽快に動ける携帯性を実現する。
また、同社のHMDは、周囲の静止物から特徴点を抽出し、自身の位置座標を推定する空間特徴位置合わせ技術が特徴だが、この精度を向上し、床や窓ガラスからの反射により生じる位置合わせ誤差を軽減し、多様な現場での高精度な位置合わせを実現可能としている。屋外でも使用でき、機材準備時間も削減可能。「10分程度ですぐに使用できる」(キヤノン)。また、空間特徴位置合わせに使用するカメラの画角は水平方向に約76度、垂直方向に約103度で、広範囲から特徴点を抽出する。体験可能範囲も従来が半径約2mだったのに対し、半径4mに広げており「クルマの周囲を回りながらデザインを確認するような場合も位置ずれなく使用できる」(キヤノン)としている。
さらに、ソフトウェアもシンプル化し、高性能のワークステーションでなくても使用できるようにした。そのため、モバイルワークステーションによりさまざまな場所に一式を持ち歩いて簡単に使えるようになる。実際の建設予定地でCGを合成して完成後の姿を関係者間で共有することや、工場内で製造ラインにCGを重ねて作業性や動線を体験することなどが可能になる。現場で実寸大のCGを確認することで、コミュニケーションの効率化や合意形成の時間短縮、試作回数の減少などに貢献する。
「MREAL S1」の本体価格はオープン価格だが、システム一式の価格は「約400万円からとなる」(キヤノン)。従来機は最低価格として1500万円からとしていたため、約4分の1の価格とした。「とにかく活用用途を広げていきたい。従来は製造業や建設業などが中心で、さらにその用途も限られていた。これらの業種でMRの活用用途をさらに広げていくとともに、業種も広げていく」(キヤノン)。
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