TOTOが健康に役立つ「ウェルネストイレ」の開発を表明、数年内の実用化目指す:CES 2021
TOTOは、オンラインで開催中の「CES 2021」において、“健康”という新たな生活価値創造をめざす「ウェルネストイレ」の開発に取り組むと発表した。人が日常的に利用するトイレを用いて健康状態と関連するデータを収集するとともに、健康に関するレコメンドをスマートフォンを介して行う機能などを備えるトイレの開発が目標になる。
TOTOは、オンラインで開催中の「CES 2021」(2021年1月11〜14日)において、“健康”という新たな生活価値創造を目指す「ウェルネストイレ」の開発に取り組むと発表した。人が日常的に利用するトイレを用いて健康状態と関連するデータを収集するとともに、健康に関するレコメンドをスマートフォンを介して行う機能などを備えるトイレの開発が目標になる。オープンイノベーションの活用により今後数年内に実用化したい考えだ。
同社は2016年から6年連続でCESに出展している。今回のCES 2021では、トイレなど水まわり設備機器メーカーとして100年にわたって取り組んできた、衛生、清潔、快適な生活に貢献する同社の技術革新を世界に広めていくことを「TOTO CLEANOVATION」というメッセージで訴求している。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染抑制では「非接触(タッチレス)」が重要になるが、TOTOの水まわり設備機器では、トイレのフタの自動開閉や排せつ後の自動洗浄などの他に、非接触で手洗いを行える「自動水栓」にフォーカスした紹介を行っている。
日本の多くの公衆施設で用いられている自動水栓は、水栓の胴体部にセンサーがあり、手をうまく感知できずに水が出てこなかったり、誤作動したりという課題がある。TOTOはこの課題を解決するためにセンサーの小型化に取り組み、水が出る先端にセンサーを組み込むことで、手を差し出せばすぐに水が出る自動水栓を2001年に発売している。この他、水の勢いで羽根車を回して自己発電し、電源も電池も不要な「アクアオートエコ」は、電源工事が不要で省施工なので、あらゆる水まわりに設置しやすい商品として日本だけでなく米国でも好評だという。
トイレのIoT化の技術的ハードルは高くない
この自動水栓や2020年に発売40周年を迎えた温水洗浄便座「ウォシュレット」は、トイレなど水まわり設備の電子化により大きく利便性を高めてきた製品である。
今回取り組みを初表明したウェルネストイレは、電子化することで進化したトイレの設備機器からデジタルデータを収集、分析することで新たな価値を生み出すという意味ではトイレをさらに進化させるIoT(モノのインターネット)化を実現することともいえる。
TOTOにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を担うデジタルイノベーション推進本部 本部長の中村良次氏は「当社のこれまでの取り組みの中で、トイレの設備機器の電子化はできていると感じている。水を使うトイレで感電の可能性のある電気を取り込むという電子化と比べれば、既に電子化できている分も含めてIoT化の技術的なハードルは高くない」と語る。
ウェルネストイレで収集する健康状態と関連するデータとしては、トイレの便座と皮膚が接するというタッチポイントを活用した血流データや、排せつ物の臭気データなどが考えられるという。ただし「現時点ではまだコンセプトレベルであり、海外の研究機関やスタートアップとのオープンイノベーションを進める中で形にしていきたい。実用化の時期は数年内を目標としており、5年はかけたくないという思いがある」(中村氏)としている。
なお、ウェルネストイレは、健康チェックのために特別な動作をしたり、ウェアラブルデバイスなどを身に着けたりすることなく、ただトイレを使うだけで、スマートフォンのアプリケーションに健康に関するレコメンドが届くことがメリットになる。開発活動の中では、そういった特徴も含めてウェルネストイレに関するニーズの調査をグローバルで緻密に行っていく方針である。
これまでのTOTOによるトイレのIoT化の取り組みとしては、他社との協業によって開発した、公衆トイレの使用状況や消耗品の効率的な管理を可能にするIoTソリューションがある。このソリューションは既に成田空港やアトランタ空港などに導入されている。
中村氏は「COVID-19の感染拡大もあり、あらためてTOTOのさまざまなクリーン技術に対する期待が大きくなっていることを感じている。ウェルネストイレの開発も含めて、しっかりと提案活動を進めていきたい」と述べている。
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