設置するだけで計測とデータ送信、35MPaの圧力測定に対応するIoT無線圧力センサー:FAニュース
横河電機は、産業用IoT向け無線ソリューション「Sushi Sensor」の新製品として、35MPaまでの圧力測定に対応する高圧レンジの無線圧力センサーを発売した。無線通信モジュールと圧力測定モジュールを組み合わせることで動作する。
横河電機は2020年12月4日、産業用IoT(IIoT)向け無線ソリューション「Sushi Sensor(スシセンサ)」の新製品として、高圧レンジの無線圧力センサーを発売した。35MPa(メガパスカル)までの圧力測定が可能で、化学や鉄鋼などのプラントにおいて広範囲の設備状態監視に対応する。
Sushi Sensorは、設備のメンテナンスコストを抑える同社のソリューション「OpreX Asset Management and Integrity」に属する。通信機能と振動、温度、圧力センサー機能を備えた小型無線センサーのデータを、オンプレミスのサーバもしくはクラウド上に保管し、AI(人工知能)やML(機械学習)を使った設備異常の予兆検知ができる。
今回開発した高圧レンジの無線圧力センサーは、無線通信モジュール「XS110A」と圧力測定モジュール「XS530」を組み合わせることで動作する。35MPaまでの高圧仕様により、大部分の測定箇所の保全用圧力監視ができる。耐腐食性の素材を液体や気体に接する部分に採用しており、高圧に耐える高強度となっている。
巡回点検による圧力監視が必要だった設備に導入すれば、定期的な圧力データの収集を自動化できる。Sushi Sensorによるデータ監視に巡回点検を置き換えることで点検頻度が減り、保全活動の効率向上につながる。
通信部とセンサー部は分離構造となっており、無線通信モジュールのXS110Aは電池を内蔵。電池寿命は、常温環境設置でデータ更新周期が1時間の場合で10年間と長く、電池交換の頻度が減り、防爆エリアや高所などの危険な場所での作業を低減できる。プラントでの使用に必要となる防塵、防水、防爆などの耐環境性も備える。
Sushi Sensorで収集したデータは、設備保全に加え、生産効率向上や品質改善などに活用できる。原料の品質と設備の健全性が製品品質に関わっているプロセス産業の場合、AIでそれらのデータを解析し、これまで発見されなかった相関関係や重要な評価指標を特定可能になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- その名も「スシセンサー」、横河電機がLoRaWAN対応のIIoT用センサーを発売
横河電機は通信機能とセンサー機能が一体となった小型無線センサー「Sushi Sensor」を発売する。プラント設備の振動と表面温度をオンライン監視することで保全に貢献する。 - 第4次産業革命を支える「簡単でシンプルなIoT」の意義
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第15回となる今回は最近注目される「簡単でシンプルなIoT」についてまとめます。 - エッジの先の先、センサーデバイスから見たIoTの風景
「SEMICON Japan 2016」のIoTイノベーションフォーラムで登壇した米国アナログ半導体大手であるアナログ・デバイセズIoT戦略担当ディレクタのジェイソン・リンチ氏は、IoTで成功するためにはハードウェアや半導体技術の大きな革新や協業が必要だと考えを述べた。 - スマートファクトリー化がなぜこれほど難しいのか、その整理の第一歩
インダストリー4.0やスマートファクトリー化が注目されてから既に5年以上が経過しています。積極的な取り組みを進める製造業がさまざまな実績を残していっているのにかかわらず、取り組みの意欲がすっかり下がってしまった企業も多く存在し2極化が進んでいるように感じています。そこであらためてスマートファクトリーについての考え方を整理し、分かりやすく紹介する。 - エッジは強く上位は緩く結ぶ、“真につながる”スマート工場への道筋が明確に
IoTやAIを活用したスマートファクトリー化への取り組みは広がりを見せている。ただ、スマート工場化の最初の一歩である「見える化」や、製造ラインの部分的な効率化に貢献する「部分最適」にとどまっており、「自律的に最適化した工場」などの実現はまだまだ遠い状況である。特にその前提となる「工場全体のつながる化」へのハードルは高く「道筋が見えない」と懸念する声も多い。そうした中で、2020年はようやく方向性が見えてきそうだ。キーワードは「下は強く、上は緩く結ぶ」である。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。