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ロボティクス型への“乗り換え”も増える、パワードアシストスーツの市場展望FAインタビュー(2/2 ページ)

コロナ禍で労働力不足や作業負担の増大が深刻化する物流現場。解決の鍵を握る技術として、一部の“イノベーティブ”な物流企業はパワーアシストスーツに目を向けている。パワーアシストスーツの市場普及をどのように見るか。2020年10月に既存の腰部分のアシスト危機に加えて、腕部分の補助を行う「ATOUN MODEL Y + kote」の実地実験を開始したATOUNの代表取締役社長に話を聞いた。

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作業内容に応じてアシストモードを切り替えられる仕組みを搭載

MONOist + koteの実地テストを開始してから2カ月が経過しました(取材は2020年12月に実施)。テストに参加している顧客の反応はどうですか。

藤本氏 MODEL Yと+ koteのデモ体験の問い合わせがかなり寄せられている。特にMODEL Yは、最長で3カ月程度の“体験待ち”が生じている状況だ。MODEL Yと+ koteを併せて導入を検討する企業も多いが、重量の問題から、どちらか一方だけを検討する顧客もいる。自社の業務内容に応じてどのように導入するかを検討してもらえればと思う。


MODEL Yと+ koteの外観*出典:ATOUN

MONOist + koteから見えてきた今後の開発課題などはありますか。

藤本氏 当社では顧客企業に対して、エンジニアが満足度や改善要望などのヒアリングを行う他、機器の使用頻度データなどを取得、フィードバックして順次機能追加を行う仕組みを整えている。

 その結果追加した機能の1つが、リスト部分のコントローラーを操作することで、「ダイレクト」「ホールド」「オート」の3種類のアシストモードを状況に応じて使い分ける仕組みだ。指先に装着したセンサーに加わった力次第でワイヤの巻き上げ力などを変化させることで、荷物の形状や保持時間などに適したアシストを行う。実際に現場で3タイプを切り替えながら作業することはまれだと思うが、さまざまなシチュエーションに対応できるようにした。

 その他に、発表時に比べるとセンサー系のデザインを大きく変えている。

富士山の山道整備にも活用

MONOist 最近では+ koteを富士山の山道整備の用途で貸し出しています。

藤本氏 2019年の台風19号が原因で生じた山道のがれき除去のため、合計で4台のMODEL Yを寄贈し、その他にレンタル品として+ koteを1台、現段階ではプロトタイプにとどまるが歩行支援型パワードウェアの「HIMICO(ヒミコ)」を1台ずつ提供した。


寄贈したMODEL Yや+ koteを用いた山道整備*出典:ATOUN[クリックして拡大]

 山道整備の作業では、通常、5〜6人の作業者が登山道を登って道上のがれきを発見次第撤去していく。普段は数kg程度のがれきだが、台風被害の影響で10〜20kg程度のがれきもあったようだ。実施時期は2020年の8月上旬だった。例年はもう少し早く山開きを行うが、COVID-19の影響で遅れていた。

 本来こうした用途で寄贈や貸し出しを行うことはあまりない。ただ、富士山での山道整備ということで力になりたいと思ったのと、最大で20kgという重量物を+ koteで扱う際の良質なフィードバックデータを取りたいという思惑もあり、寄贈などを行った。

MONOist フィードバックの結果はどうでしたか。

藤本氏 ヒアリングを行ったところ、腰や腕の負担軽減を実感したという声が多かった。今回は作業時間の短縮化よりは作業負担を軽減したいと考えていたので、その点で一定程度貢献できたと考えている。

MONOist + kote以外で、開発に取り組んでいる製品などはありますか。

藤本氏 先に話したHIMICOの開発を進めていて、医療用機器ではない、健康増進のためのツールとして事業化を検討している。歩行をサポートすることで、高齢者がフレイル*1)状態に陥ることを防げないかと考えている。ターゲットとして考えているのが旅行会社だ。既に近畿日本ツーリストなどと協力して、HIMICOを用いたウオーキングツアーなどを試験的に開催する取り組みを始めている。

*1)心身共に衰弱し始めて、要介護状態に移行しつつある高齢者の状態

 この他、現段階では“ムーンショット(挑戦的な研究開発)”的な内容にとどまるが、建設現場や災害救助など重作業現場に生かせるパワードスーツなども構想している。

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