製造業向けIoTサービスに、予兆検知のニーズが高いボールねじを追加:FAニュース
THKは、製造業向けのIoTサービス「OMNIedge」の第2弾として、ボールねじを追加した。装置に取り付けたセンサーからデータを収集して可視化し、状態診断や予兆検知につなげる同サービスは、装置保全作業の効率化にも活用できる。
THKは2020年11月16日、製造業向けのIoT(モノのインターネット)サービス「OMNIedge(オムニエッジ)」の第2弾として、ボールねじをラインアップに追加した。
OMNIedgeは、センサーやアンプ、通信機器などを通信費を含めてまとめて提供するパッケージ型サービス。1装置の利用料金は2年契約で月額8000円からとなる。機械要素部品に取り付けたセンサーから収集したデータを、独自技術の「THK SENSING SYSTEM」で数値化、解析し、状態診断や予兆検知につなげる。
2019年の無償トライアルを経て、2020年1月に第1弾としてLMガイド対応のサービスを開始した。同社工場では約700台の製造装置にOMNIedgeを導入し、部品の状態を可視化して数値の収集、解析を実施している。なお、約300台のユーザー企業装置が、同サービスを年内に導入する予定だ。
今回、第2弾として追加されたボールねじは、LMガイドとセットで使用されることが多く、予兆検知のニーズが高かった。ボールねじにもTHK SENSING SYSTEM技術を確立したことで、ボールねじの異音や異常振動を数値化して検知可能になった。
また、OMNIedgeは保全作業の効率化にも活用できる。これまで作業員の経験やスキルに依存していた装置の保全作業に計画性を持たせることができ、時間ではなく状態で管理する保全形態へと変更できることから、予備在庫の管理コスト削減や部品交換時期の適正化など、現場の生産効率を向上する。
パッケージ化されたOMNIedgeが保全作業の一部を担うことで、保全作業の際に必要だった熟練工の感覚、技術をどう継承するかといった、製造業の課題解決にも貢献する。
THKでは、OMNIedgeの適用範囲を今後は回転部品やアクチュエーターなどにも拡大する予定で、機械要素部品の予兆検知を基に、装置全体の安全運用、管理へと進展させていく。
また、OMNIedgeの第3弾として、2021年1月から回転部品サービスの開始を計画しており、サービスの本格展開に先立ち、無償トライアルを実施する企業30社を募集している。回転部品の対象はポンプ、モーター、コンベヤー、ファンなどで、センサーはバッテリー内蔵タイプと電源供給タイプの2種類の無線振動センサーを用意する。
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