現場と遠隔地をつなぐ、ARを活用したリアルタイム遠隔支援「Vuforia Chalk」:産業用AR活用(2/2 ページ)
withコロナの時代において、現地対応を余儀なくされる従業員/スタッフの安全と顧客ニーズの双方を満たす、新たなコミュニケーション手段が求められている。その解決策としてPTCは、リアルタイム遠隔支援「Vuforia Chalk」を訴求する。その特長、活用メリットとは?
機密性の高い映像/音声の扱いは大丈夫か?
音声とビデオ通話、そしてAR技術によってリアルタイムな遠隔支援を実現するVuforia Chalkだが、機密性の高い工場内の設備や、開発中の製品の映像を取り扱うケースもあることから、セキュリティを懸念される方もいるだろう。
Vuforia Chalkによる現場と遠隔側の音声/映像ストリームは、ピアツーピア接続(DTLSとSRTPによる暗号化)によって2者間でのみ共有されるため、サーバなどに音声や映像データが流れることはない。また、ログイン認証および通話相手の確認を行う際、Vuforia Chalkのアプリからクラウド上にあるVuforia ChalkのWebサービス群に対して、シグナリングと呼ばれる通信が発生するが、これについてもHTTPS接続によりセキュリティが担保されているという。
その他、ユーザーの要望に応じ、シングルサインオン(SSO)によるユーザー側の認証管理システムとの連携にも対応する。これにより、Vuforia Chalkの利用に際し、自社の認証ポリシーを適用するといったことも可能だ。
利用範囲に応じた2つのエディションを用意、キャンペーンも
Vuforia Chalkには、2種類のエディションが用意されている。1つは社内/グループ企業など、登録ユーザー同士のコミュニケーションに適した「Vuforia Chalk ユーザー版」、もう1つは社外を含めた不特定多数の関係者とのコミュニケーションに適した「Vuforia Chalk ホスト版」だ。いずれもサブスクリプション方式(最短1年間)での提供となる。
ユーザー版の利用可能ユーザー数は最小パッケージで50人。スマートグラスやPC(Webブラウザ)からの利用ができないなどの一部制約はあるが、既存のスマートフォン/タブレット端末を活用して、リアルタイム遠隔支援をすぐにでも実現したいケースにマッチする。年間利用価格は148万3000円(税別)だ。
一方、ホスト版のホスト数は最小パッケージで5人。ホストはゲストとの通話に必要な接続コードを発行することが可能だ。こちらはスマートフォン/タブレット端末に加え、スマートグラスやPC(Webブラウザ)での利用にも対応する。年間利用価格は222万4000円(税別)。なお、2020年12月20日までの期間限定で、ホスト版を59万3000円(同)で提供するキャンペーンを実施中だ。同キャンペーンを利用したユーザーは、以降のライセンス更新費用やホスト追加費用も原則今回の特別価格が適用されるという。
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