新型コロナからの新車販売回復は2022年か、中国が先行して販売増加へ:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は2020年12月8日、自動車メーカーなどによる新車販売の回復予想などをまとめた調査結果を発表した。
矢野経済研究所は2020年12月8日、自動車メーカーなどによる新車販売の回復予想などをまとめた調査結果を発表した。自動車メーカーやサプライヤーを対象に同年8〜9月にアンケートを実施した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2020年の新車販売台数に与えた影響について、グローバルでは「とても減少」という回答が45.4%を占めた。「やや減少」も含めると回答者の96.6%が2020年はマイナス成長だったと答えた。2021年の新車販売台数におけるCOVID-19の影響については、「とても減少」が36.1ポイント減の9.3%、「やや減少」が2.9ポイント減の48.3%となった。2021年の新車販売台数を「やや増加」とした回答は20.5%に上った。
2021年の地域別の見通しについても尋ねた。増加するという回答が最も多かったのが中国で、「やや増加」「とても増加」の合計は半数近くを占めた。中国については「とても減少」「やや減少」の合計が25.9%だった。中国以外の国や地域では厳しい予想が多く、南米や西欧、中東欧とロシア、日本は「とても減少」「やや減少」の回答比率の合計が60%近いという結果だった。
新車販売の回復時期のめどについては、世界全体では「2022年」とする回答が45.4%だった。「2021年」は23.9%、「2023年」は19.0%だ。地域別では中国の回復時期が最も早いと見込まれており、「2020年後半」が32.7%、「2021年」が38.0%という回答が多かった。米国の回復時期の予想は「2021年」と「2022年」で分かれた。ASEANやインド、西欧、南米については「2022年」という回答が40%前後を占めており、「2023年」とする回答も少なくない。日本については「2022年」が41.0%、「2021年」が25.9%という結果だった。
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