電動車向けモーター用レーザー溶接機でNITTOKUと古河電工が協業:FAニュース
NITTOKUと古河電気工業(以下、古河電工)は2020年11月26日、協業により電動車向けモーター用レーザー溶接機を製品化したと発表した。電動化が加速し需要が高まる自動車向けモーター製造の生産効率向上に貢献する。
NITTOKUと古河電気工業(以下、古河電工)は2020年11月26日、協業により電動車向けモーター用レーザー溶接機を製品化したと発表した。電動化が加速し需要が高まる自動車向けモーター製造の生産効率向上に貢献する。
協業による電動車向けモーター用レーザー溶接機を製品化した古河電工とNITTOKUの代表者。右からNITTOKU 代表取締役専務 福島事業所事業所長で生産本部本部長の久能均氏、同 代表取締役社長の近藤進茂氏、古河電工 執行役員専務 情報通信ソリューション統括部門長兼同統括部門企画統括部長の木村隆秀氏、同 情報通信ソリューション統括部門 ファイテル製品事業部門長の太田寿彦氏(クリックで拡大)出典:古河電工
自動車市場における電動車比率の高まりにより、主動力となるモーターの小型化や軽量化、高効率化が求められている。その中で、平角線を用いたモータが主流になりつつあるが、その生産で継線工法における溶接工程の生産性向上が求められている。従来はTIG溶接が中心となっていたが、任意箇所を狙って溶融することが難しく、平角線の配置に高い精度が要求された。一方でレーザー溶融は任意の箇所を狙った選択的な溶融が可能である一方で、純銅に対する入熱制御が難しく加工時に溶融池やキーホールの形成が安定しないという課題があった。
そこで今回、古河電工が2020年11月16日に製品化を発表した青色ダイレクトダイオードレーザー(青色DDL)と近赤外(IR)ファイバーレーザーを組み合わせたBlue-IRハイブリッドレーザー「BRACE」を活用し、NITTOKUの精密FA技術を組み合わせることで、平角線モーターのレーザー溶接を安定的に自動化できるレーザー溶接機を開発することに成功したという。
協業により開発された電動車モーター用レーザー溶接機は、TIG溶接に比べて溶接能力は最大で10倍となる他、青色DDLとIRを組み合わせたハイブリッドレーザー技術を採用していることで、十分な入熱が行え、加工品質を高めることができる。また、さまざまな形状のモーターに対応可能とする他、ラインに組み込み、生産ラインの自動化などにも貢献できるとしている。製品は2020年12月にNITTOKUから販売する。NITTOKU代表取締役社長の近藤進茂氏は「装置の販売だけでなく、生産ラインとしてのトータルソリューションでの生産性を訴求する。またサービスやスタッフ教育などワンストップサポートを進めていく」と述べている。
販売はグローバルで展開する予定で「自動車の電動化需要をメインターゲットとしているが、自動車メーカーやモーターメーカーなどターゲット企業は絞り込み過ぎず幅広く展開したい」(近藤氏)としている。また、価格は「装置としては9000万〜1億円程度を狙っている」(近藤氏)で、販売目標としては2022年度までに100台以上の販売を目指すとしている。
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