微量元素と各種化合物の複合的解析ができるイメージングシステムを発売:医療機器ニュース
島津製作所は、相補的な2つのイメージング技術を組み合わせることで、微量元素と各種化合物を複合的に解析できる「マルチモーダルイメージングシステム」を発売した。
島津製作所は2020年11月4日、相補的な2つのイメージング技術を組み合わせることで、微量元素と各種化合物を複合的に解析できる「マルチモーダルイメージングシステム」を発売した。生体内の金属の機能や代謝機構に関する、より正確な情報を取得でき、病気の発症メカニズムの解明、治療薬の開発に寄与する。
同システムは、金属など微量元素の分布情報を取得可能なレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)、有機化合物の分布情報を取得するイメージング質量顕微鏡、両装置の取得データを統合的に解析する質量分析イメージ解析ソフトウェアで構成される。
LA-ICP-MSとイメージング質量顕微鏡の測定試料は、どちらも大気圧下でセットする。そのため、水分を含む生体試料も簡単に測定が可能だ。また、数μm〜数十μmという高い空間分解能を有している。
統合解析ソフトウェアのIMAGEREVEAL MSを使用することで、LA-ICP-MSとイメージング質量顕微鏡のイメージングデータを高度に解析する。これらのデータは、変換なしで取り込み、すぐに解析できる。
マウス心臓組織における造影剤の解析例 。c.)はLA-ICP-MSによる造影剤内のガドリニウムを対象とした元素イメージング。d.)はiMScopeによる造影剤と同構造を持つ分子を対象とした分子イメージング。a.)とb.)は光学顕微鏡部分による画像 出典:島津製作所
LA-ICP-MSは、固体試料の微小領域にレーザー光を照射して蒸発、粒子化するレーザーアブレーション(LA)と、試料に含まれる元素の種類と含有量を測定する誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を組み合わせた装置。生体試料や鉱石、半導体、金属など固体試料の微量な元素分布を測定できる。光学顕微鏡とMALDI型質量分析計を組み合わせたイメージング質量顕微鏡装置は、生体試料に含まれる薬効成分など各種化合物の分布を可視化できる。
システムの価格は、LA-ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計「ICPMS-2030」とレーザーアブレーション装置)が4300万円から、iMScope QTが1億円から、IMAGEREVEAL MSが453万円から(全て税別)。関連製品を含め、年間15億円の販売を目標とする。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新型コロナのPCR検査時間を半減し精度も向上する検出試薬キット、島津が発売
島津製作所は、PCR法(遺伝子増幅法)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査時間を半減できる「新型コロナウイルス検出試薬キット」を2020年4月20日に発売すると発表した。100検体分の検査が可能な1キット当たりの価格(税別)は22万5000円。 - AI技術により、高精度かつ迅速な骨密度測定が可能なX線TVシステム
島津製作所は、AI技術を用いた画像処理により骨密度測定でのX線画像を高精度かつ迅速に提供する機能と、同機能を導入できるX線TVシステム「SONIALVISION G4 LX edition」を発表した。被ばく量を半減するデジタル画像処理技術を標準搭載する。 - iPS細胞とES細胞の分化状態が培養液の解析のみで判断可能に
島津製作所、神戸医療産業都市推進機構、東京エレクトロンは、細胞を壊さずに細胞の分化状態を判断できる手法を見出した。細胞の品質をリアルタイムかつ非侵襲的に、容易に管理できることから、安全で有効な細胞治療につながることが期待される。 - 詳細な構造解析に対応する、MALDIデジタルイオントラップ型質量分析計
島津製作所は、設置面積がA3サイズと小型ながら、詳細な構造解析に対応するMALDIデジタルイオントラップ型質量分析計「MALDImini-1」を発売した。 - 糖リン酸類を完全分離し、代謝を正確に計測する技術を開発
大阪大学と島津製作所は、細胞内代謝物の糖リン酸類を正確に分析する技術を開発した。細胞内代謝物の中でも重要な役割を担う糖リン酸類を完全に分離することで、より正確な代謝計測が可能になった。 - 脳内アミロイド蓄積を血液から推定する受託分析を開始
島津製作所と島津テクノリサーチは、アルツハイマー型認知症に関する研究開発分野を対象として、血漿から脳内のアミロイド蓄積度合いを推定する受託分析「アミロイドMS受託解析サービス」を開始した。