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自動航行時の重大事故を防止せよ、商船三井が衝突回避アルゴリズムを共同研究船も「CASE」

商船三井は2020年10月19日、MOLマリン、海上技術安全研究所と東京海洋大学、商船三井テクノトレード、YDKテクノロジーズと共同で「避航操船アルゴリズムと避航自動化」に関する共同研究の実施に合意し、契約を締結したと発表した。針路上にいる船舶を避けて自動航行するアルゴリズム開発に取り組む。研究の一環として、船舶を用いた東京湾での実証実験も実施する。

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編集部注 船の世界も、自動車の自動運転と同様に「自動運航技術」の開発が進んでいます。周辺監視(見張り)をセンサーでどうサポートするか、遠隔から操船を支援できないか、そもそも無人で操船できるか、といったテーマで研究開発が進んでいるのも、広い意味では自動車業界と同じです。

 船と自動車。どちらもモビリティであり、物流や旅客輸送の今後の在り方にどう貢献できるかが問われています。MONOistのオートモーティブフォーラムをご覧になる自動車関連の読者の皆さまにとって、船の世界の技術がヒントや気付きにつながれば幸いです。

→船も「CASE」 その他の記事はこちら


 商船三井は2020年10月19日、MOLマリン、海上技術安全研究所と東京海洋大学、商船三井テクノトレード、YDKテクノロジーズと共同で「避航操船アルゴリズムと避航自動化」に関する共同研究の実施に合意し、契約を締結したと発表した。針路上にいる船舶を避けて自動航行するアルゴリズム開発に取り組む。研究の一環として、船舶を用いた東京湾での実証実験も実施する。

「航行妨害ゾーン」をリアルタイム推定する技術を目指す

 共同研究を通じて商船三井らは、自船の現在針路上で相手船との衝突可能性がある「航行妨害ゾーン(OZT:Obstacle Zone by Target)」と呼ばれる場所を自動的に推定するアルゴリズムの開発を目指す。

 OZTの推定技術は船舶同士の重大な衝突事故を防止し、安全な自動航行を実現する上で重要な意味を持つ。今回の共同研究では、複数の相手船に関してOZTを推定するとともに、複数のOZTを避けて航行する避航航路の提案までを行う技術の開発を目標としている。開発にはルールベースAI(人工知能)や深層強化学習など最先端技術を用いる。


汐路丸を用いた実証実験。景観表示(画像左上)、カメラ映像(同左下)、レーダ表示(同右)の3点が表示されている[クリックして拡大]出典:商船三井

汐路丸実証実験中の渡航航路の表示画面[クリックして拡大]出典:商船三井

 開発中のアルゴリズムを用いて、東京海洋大学が所有する練習船「汐路丸(しおじまる)」を使った東京湾での実証実験も実施する。東京湾は複数の船舶が行き交う混雑度の高い輻輳(ふくそう)海域である。こうした海域においても、複数の相手船を対象としたOZTの推定や、避航航路の提案が正常かつリアルタイムに実行可能かを確認する。また、輻輳海域上で船舶同士が見合い状態になる前に中長期的な避航戦略を確立する仕組みづくりや、船舶運航に携わる海技者の経験まで考慮した安全システムの実現にも同時に取り組んでいく。

 商船三井は2016年11月に「船舶維新NEXT〜MOL SMART SHIP PROJECT〜」で、安全運航技術や環境負荷低減技術の推進を掲げている。今回の自動航行技術の開発もそうしたプロジェクトの一環として行われるものだ。同社は自動航行の技術要素を「認知部分」「判断部分」「操船部分」の3段階に分割して、各段階で研究開発を進めており、今回のアルゴリズム開発は「判断部分」に相当する。


商船三井は総合的な自動航行技術開発の取り組みを進めている。[クリックして拡大]出典:商船三井

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