世界のフッ素樹脂市場の年平均成長率は6.5%、2027年に117億米ドルになると予測:材料技術
Report Oceanは、2019年の世界のフッ素樹脂市場は77億米ドルで、2027年までに117億米ドルに達するとの予測を発表した。新型コロナウイルス感染症の影響による健康機器への需要の高まりが、今後のフッ素樹脂市場をけん引する。
Report Oceanは2020年10月13日、フッ素樹脂市場に関する調査報告「フルオロポリマー市場調査レポート」を発表した。2019年の世界のフッ素樹脂市場は77億米ドル(約8100億円)で、2027年までに117億米ドル(約1兆2300億円)に達すると予測。2020〜2027年の年平均成長率(CAGR)は6.5%になるという。
高性能プラスチックのフッ素樹脂は、高い引張強度と優れた耐熱性を有し、高温や過酷な化学環境で広く使用されている。PTFE、FEP、PVDF、フッ素エラストマ、PVF、PFA、ETFEなどの種類があり、市場は最終用途産業により、輸送機器、電気および電子機器、建設、産業機器などに分類される。
自動車や電気通信、航空宇宙、電気電子、化学処理などのアプリケーションで使用されており、産業用アプリケーションが市場最大のシェアを占めている。レポートでは、今後も産業用アプリケーションが主要セグメントであり続けると予想する。
世界のフッ素樹脂市場は、電気電子用途の高絶縁材料、自動車や航空機の製造部品向けの炭素繊維強化ポリマーの需要増加により、成長が見られた。予測期間中には、建設や化学処理向けアプリケーション、航空宇宙向けアプリケーションが市場を押し上げると予測する。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、自動車および航空宇宙産業での需要が減少し、2020年の市場は伸び悩んだ。今後も生産量の減少による連鎖的な影響から需要に影響を与えると考えられるが、医療グレードのフッ素樹脂への影響は比較的穏やかだ。COVID-19による検査やその他の健康機器に対する需要の高まりが、近い将来、世界のフッ素樹脂市場をけん引するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ホンダが挑む高効率材料開発、マテリアルズインフォマティクスの活用に向けて
アンシス・ジャパン主催のオンラインイベント「Ansys INNOVATION CONFERENCE 2020」のAutomotive Dayにおいて、ホンダは「マテリアルズインフォマティクスを活用した高効率開発のための材料データベース」をテーマに講演を行い、同社の材料データベース導入、マテリアルズインフォマティクスの取り組み事例を紹介した。 - NEDO、14件のセルロースナノファイバー関連技術の研究開発に着手
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、低炭素社会の実現に向けた「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー(CNF)関連技術開発」事業において、新たに14件の研究開発に着手することを発表した。 - 水を使わない全乾式製法を用いたセルロースファイバー成形材料技術
パナソニックはSDGsセミナーをオンライン開催し、「サーキュラーエコノミーに対応するエコマテリアル開発の取り組み」と題し、同社が開発を進めるセルロースファイバー(CeF)成形材料技術について説明した。 - 塗装なしで漆黒を再現する高機能バイオ素材、クラファンでスマホケースも
NECプラットフォームズは、海洋プラスチックごみなどの環境問題の解決に貢献する高機能バイオ素材「NeCycle」の販売開始を発表した。当面は、高付加価値、環境性が求められる製品向けに展開をスタートし、事業規模を拡大。2025年度に年間50億円の売上高を目指す。 - 三菱マテリアルとNIMSが情報統合型材料開発システム構築に向け開発センター設立
三菱マテリアル(MMC)と物質・材料研究機構(NIMS)は、「NIMS-三菱マテリアル情報統合型材料開発センター」設立に関する覚書を締結した。 - 2020年のCNF世界生産量は57t程度、出荷金額は68億4000万円と予測
矢野経済研究所は、2020年のセルロースナノファイバー世界市場に関する調査結果を発表した。2020年のCNF世界生産量は57t程度、出荷金額は68億4000万円を見込んでいる。