SimulinkのリアルタイムシミュレーターがRCPとHILテスト機能を強化、QNXにも対応:組み込み開発ニュース
Mathworksは、リアルタイムアプリケーション作成用ソフトウェア「Simulink Real-Time」のアップデートを発表した。RCPおよびHILテスト機能が強化され、同ソフトウェア上で「QNX Neutrino RTOS」が利用可能になった。
Mathworksは2020年10月14日、リアルタイムアプリケーション作成用ソフトウェア「Simulink Real-Time」のアップデートを発表した。同社のWebサイトからダウンロード可能だ。
今回のアップデートにより、モデルベース開発に基づくRCP(ラピッドコントロールプロトタイピング)機能とHIL(ハードウェアインザループ)テスト機能が強化された。また、BlackBerryのマルチプロセス64ビットPOSIXに準拠した「QNX Neutrino RTOS」が、Simulink Real-Time上で利用可能になった。
エンジニアは、I/OドライバーブロックによるSimulinkモデルの拡張、リアルタイムアプリケーションの自動構築、計測器の作成が可能になり、ターゲットコンピュータ上で対話的もしくは自動的に実行できる。車両や航空機などのテストをする際も、物理システムを仮想のリアルタイムシミュレーションに置き換えることで、テストにかかるコストが削減できる。
さらに、刷新されたSimulink Real-Time Explorerでリアルタイムアプリケーションを制御、構成し、App Designerを用いてグラフィカルな計器パネルやアプリケーションが作成できるようになった。MATLABとSimulink Real-Timeのみで、リアルタイムアプリケーションとの通信テスト、キャリブレーションのアプリケーションやスクリプトの開発ができる。
その他、以前のバージョンで作成したモデルを自動でアップグレード可能になり、新たなFile Logブロックも搭載している。
関連記事
- ガソリンエンジンからADASへ、マツダのモデルベース開発の広がり
アンシス・ジャパンは2020年9月9〜11日の3日間、オンラインイベント「Ansys INNOVATION CONFERENCE 2020」を開催。初日(同年9月9日)の「Automotive Day」の事例講演では、マツダ 統合制御システム開発本部 首席研究員の末冨隆雅氏が「自動車制御システムのモデルベース開発」をテーマに、同社のSKYACTIV技術の開発に貢献したモデルベース開発の取り組み事例を紹介した。 - HILSとは何か
最新の高級自動車は200個ものコンピュータを搭載しているといわれる。ECU(電子制御ユニット)と呼ばれるこのコンピュータが、正しく動作するかどうかを試験するテスト装置として注目を集めているのがHILSだ。本連載では、HILSの導入や、HILSを使ってECUのテストを行うための基本的な知識の提供を目指す。連載第1回は「HILSとは何か」だ。 - HILSの仕組み
車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は、HILSがどのような仕組みで動作しているかについて解説します。また、さまざまな車両の制御システムごとにいかなるHILSシステムがあるのかについても見て行きます。 - いまさら聞けない モデルベース開発入門
あなたは人に「モデルベース開発」を正しく説明できるだろうか? プロセス改善手法の1つであるモデルベース開発の概念や特徴について解説 - どうして今、自動車にモデルベース開発が必要なんだろう
モデルベース開発という言葉は、自動車業界にとって決して目新しいものではありません。今さら何を解説しようというのか、と思われる方も多いことでしょう。しかしここ数年で、自動車業界全体でモデルベース開発の「活用、流通」という言葉をよく耳にするようになりました。自動車開発のキーワードの1つになっていると言っても過言ではありません。 - モデルベース開発って、どう教えればいいの?
全社のモデルベース開発におけるライセンス管理やデータマネジメント、そして教育を目的とした基盤強化チームに選ばれた京子。まずは、最大の課題と感じていた、モデルベース開発を知ってもらうための教育カリキュラム作りに取り組むことになった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.