Cortex-M4とRISC-VにAIアクセラレータを内蔵したマイコン、消費電力は100分の1:人工知能ニュース
Maxim Integrated Productsは、ニューラルネットワーク向けアクセラレーターを内蔵したマイクロコントローラー「MAX78000」を発表した。低コストで高速のアプリケーション開発を支援する。
Maxim Integrated Productsは2020年10月7日(現地時間)、ニューラルネットワーク向けアクセラレーターを内蔵したマイクロコントローラー「MAX78000」を発表した。競合するソフトウェアソリューションに比べて100分の1以下の消費電力と待ち時間でAI(人工知能)推論が可能になり、低コストで高速のアプリケーション開発を支援する。
MAX78000は、専用のニューラルネットワークアクセラレーターをArmのCortex-M4コアとRISC-Vコアに内蔵したSoC。心臓部には、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の消費電力と待ち時間を最小化するように設計したハードウェアを備えており、低電力、短時間で複雑な洞察が可能になった。
CNNエンジンには、442KBの重みメモリと512KBのデータメモリも備える。重みメモリはSRAMベースのため、オンザフライでAIネットワークを更新できる。8×8mmの81ピンCTBGA、または4.6×3.7mmの130ピンWLPパッケージで提供する。
評価キット「MAX78000EVKIT#」も提供しており、オーディオとカメラの入力、キーワードスポッティング、顔認識のデモを利用できる。TensorFlowやPyTorchなどのツールを使ってトレーニングすることも可能だ。MAX78000EVKIT#の単価は168ドル(約1万7700円)となっている。
バッテリー動作のIoT(モノのインターネット)機器におけるマシンビジョン、オーディオ、顔認識などのアプリケーションでの利用に適している。
関連記事
- 組み込みAIは必要不可欠な技術へ、推論に加えて学習も視野に
2017年初時点では芽吹きつつあった程度の組み込みAI。今や大きな幹にまで成長しつつあり、2019年からは、組み込み機器を開発する上で組み込みAIは当たり前の存在になっていきそうだ。 - 「Jetson Xavier NX」で組み込みAIを試す
2020年5月14日に行われたNVIDIAの「GTC 2020」の基調講演で発売がアナウンスされた、組み込みAIボード「Jetsonシリーズ」の最新製品となる「Jetson Xavier NX」。「Jetson Nano」の連載を担当した技術ライターの大原雄介氏に、Jetson Xavier NXの開発者キットをレビューしてもらった。 - Armが提唱する「エンドポイントAI」の処理性能は従来比で最大480倍に
Armがマイコン向けプロセッサコアIP「Cortex-Mシリーズ」の最新プロダクト「Cortex-M55」と、Cortex-Mシリーズとの組み合わせにより機械学習ベースの推論アルゴリズムを効率的に実行できるNPU「Ethos-U55」を発表。Cortex-M55とEthos-U55を組み合わせた場合、現行の「Cortex-M33」と比べて推論アルゴリズムの処理性能は最大480になる。 - ルネサスの組み込みAIの性能が10倍に、独自開発の「DRP」で実現
ルネサス エレクトロニクスは、同社の組み込みAIソリューション「e-AI」における画像処理性能を従来比で10倍に向上できるマイクロプロセッサ「RZ/A2M」を開発した。最大の特徴は、独自に開発した動的に再構成が可能なプロセッサ技術「DRP」の採用になる。 - FPGAベースのAIアクセラレータを開発するための新たな開発環境を発表
Xilinxは、統合ソフトウェアプラットフォーム「Vitis」を発表した。標準ライブラリを豊富に備え、既存のツールやフレームワークを使用できるため、ソフトウェア開発者はアルゴリズム開発に専念でき、ハードウェア開発者は生産性を向上できる。 - 「ないから作った」、OKIが発売する20万円以下のAIエッジコンピュータ
OKIはAIエッジコンピューティング事業戦略と、その戦略製品となるAIエッジコンピュータ「AE2100」を発表した。長年の社会インフラ領域での端末開発の実績を生かし、高信頼性を持ちながら高いコストパフォーマンスを維持する端末を提供し、第4次産業革命を推進していく方針だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.