AI技術とデジタルデータを連携し、施工現場を遠隔から一括管理:製造IT導入事例
NECと大和ハウス工業は共同で、デジタル化により施工現場を遠隔管理する実証実験を開始する。現場の映像をNECのAI技術で分析し、大和ハウス工業の事業所に設置したスマートコントロールセンターにて、施工品質や安全を一括管理する。
NECと大和ハウス工業は2020年10月1日、デジタル化により施工現場を遠隔管理する実証実験を開始した。
実証実験の開始に当たり、大和ハウス工業は全国10カ所の事業所に、戸建住宅の施工現場の状況を遠隔管理する「スマートコントロールセンター」を設置した。
各施工現場に設置されたセンサーやカメラからデータを収集し、スマートコントロールセンター内のモニターにて現場を遠隔管理する。各センターでは、現場5カ所のの施工品質や安全を一括管理できる。
現場では、現場監督者や作業員がタブレットなどを使って集約された情報を確認、共有することで、コミュニケーションの円滑化や作業効率化が図れる。同センターが管理する現場数は、2020年度で約200カ所となる見込みだ。
また、同実験では、施工現場の映像をNECのAI(人工知能)技術で分析し、デジタルデータと連携させることで、工事の進捗管理や作業効率化、作業員の安全、健康管理に活用できるかを検証する。
データ連携によるデータベースの活用例として、施工工程の進捗状況から部材の生産や輸送を最適化する、作業員や建機、部材などの位置情報から建機による巻き込み事故、部材落下事故などの危険を事前に検知する、などが挙げられる。また、作業員の入場実績と各種バイタルデータを組み合わせて、作業員の健康管理や安全性の向上にも取り組む。
両社は今後、実証実験の結果を基に、施工現場のデジタル化を進める。大和ハウス工業は、2021年度以降、遠隔管理する施工現場の対象を戸建て住宅以外にも店舗や物流施設などへ順次拡大し、現場監督者の作業効率を3割向上する。NECは、2021年度中には施工現場の遠隔管理技術を建設業界に向けて展開していく計画だ。
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