ホンダが2021年シーズンでF1撤退、カーボンフリー技術への集中が背景に:モータースポーツ
ホンダは2020年10月2日、フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を2021年シーズンで終了すると発表した。ホンダは2015年からF1に参戦。Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)やScuderia AlphaTauri(スクーデリア・アルファタウリ)とのパートナーシップの下、2019年シーズンは3勝、2020年シーズンも第10戦までに2勝を挙げるなど活躍してきた。
ホンダは2020年10月2日、フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を2021年シーズンで終了すると発表した。ホンダは2015年からF1に参戦。Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)やScuderia AlphaTauri(スクーデリア・アルファタウリ)とのパートナーシップの下、2019年シーズンは3勝、2020年シーズンも第10戦までに2勝を挙げるなど活躍してきた。
撤退を決めた背景には、燃料電池車(FCV)や電気自動車(EV)などカーボンフリー技術を使った将来のパワーユニットやエネルギー領域の研究開発に経営資源を重点的に投入するという理由がある。F1で培ったエネルギーマネジメント技術や燃料技術、研究開発の人材を重点領域に投入し、将来のカーボンニュートラルの実現に集中するとしている。
ホンダ 代表取締役社長の八郷隆弘氏は「F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができた。その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化、『カーボンニュートラル実現』という新しいフィールドでの革新に注いでいく。これはF1同様に大変難しいチャレンジであり、社会とともに取り組んでいくべき大きなチャレンジとなる。F1撤退はこの新たな挑戦に向けた決意表明でもある」とコメントを発表した。
ホンダがF1に初めて参戦したのは1964年だ。1968年までF1での活動を続けた後、米国の大気清浄法(マスキー法)の達成など新たなチャレンジに向けて撤退を決めた。その後、1983〜1992年に再び参戦し、1993年に撤退。2000年からも新たに参戦したが、リーマンショックで世界的な景気後退が進む中で市販車ビジネスに全力を注がざるを得ない状況となり、2009年にF1から離れることを決めた。2015年から、エネルギーマネジメント技術でF1で勝利することを目標に再びF1に取り組んでいた。
「今シーズンの残り7戦。そして2021年シーズンに向けて、よりパフォーマンスを高めた新しいパワーユニットも投入し、レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリとともに、さらなる勝利を目指して最後まで全力で戦い抜く」と八郷氏はコメントしている。
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