遊休周波数を有効活用、秒周期で周波数を再割り当てする技術を開発:組み込み開発ニュース
ソニーは、使われていない周波数帯域の再割り当てができる「ダイナミック周波数共用技術」を開発し、1分未満の周期で携帯電話基地局を制御することに成功した。限りある電波資源を有効活用できる。
ソニーは2020年9月1日、使われていない周波数帯域の再割り当てができる「ダイナミック周波数共用(Dynamic Spectrum Access、DSA)技術」を開発し、1分未満の周期で携帯電話基地局を制御することに成功したと発表した。遊休周波数帯域を効率的に利用し、限りある電波資源を有効活用できる。
DSAは、これまで周波数帯ごとに管理されていた電波をデータベースで一元管理し、既存事業者や利用者への電波干渉を抑制しながら、時間的、空間的に遊休状態の周波数帯域を別の事業者や利用者に割り当てる技術だ。
同社は総務省の認可を受け、同年4月から2.3G〜2.4GHz帯(3GPP B40/n40)に対応した4G LTE基地局をソニーシティ大崎(東京都品川区)に複数設置。アメリカのCBRS(Citizens Broadband Radio Service)準拠の周波数管理データベースシステム(Spectrum Access System、SAS)を利用して、4G LTE対応スマートフォンを用いた動画像の伝送試験などを行っている。
今回、同じ環境下で基地局の遠隔制御の高速化技術を開発し、複数基地局の周波数割り当てや送信パラメーターの変更指示から動作反映までの時間を、従来の数時間〜数日から、60秒未満に短縮できることを実証した。これにより、遊休周波数の利用機会の向上が期待できる。今後も、国内におけるDSA技術の実用化に取り組み、5Gの普及に貢献するとしている。
なお、同社は米国において既にSASの運用を開始しており、プライベートネットワークを利用したアプリケーション開発を検討している。イギリスでも同様の実証実験を行う予定だ。
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