メンテナンスが不要なバッテリーレス表示機能付きRFIDタグ提供開始:FAニュース
凸版印刷は、バッテリーレス表示機能付きRFIDタグ「Near cross D 2.9」を開発し、製造業や流通、小売業に向けて提供を開始した。電子ペーパーの活用により、電池交換や充電などのメンテナンスの必要がない。
凸版印刷は2020年8月25日、バッテリーレス表示機能付きRFIDタグ「Near cross(ニアクロス)D 2.9」を開発し、製造業や流通、小売業に向けて提供を開始した。オープン価格で、2025年までに20億円の売り上げを目指す。
Near cross D 2.9は、通信規格ISO/IEC 15693に準拠したHF帯RFIDを使用。既存のリーダーライター1つで読み取りと書き換えができ、当規格に対応したRFIDとともにNear cross D 2.9を運用できる。3秒ほどでリーダーライターから、搭載しているE Ink製電子ペーパーディスプレイ(電子ペーパー)の表示を変更でき、10万回以上の表示変更が可能だ。
電子ペーパーの書き換えには、RFIDの通信に使用される電力を利用する省電力設計を採用。電力なしで電子ペーパーを表示し続けられ、表示変更に無線通信時の電力を利用するバッテリーレス構造だ。
電子ペーパーは反射光によって視認されるため、バックライトによる自発光が不要だ。太陽光の下でも視認性が良く、赤色光やカメラなどで認識されるバーコードやQRコードなどの認識率を高くできる。さらに、多言語での表示に対応し、外国人労働者に対する指示や情報伝達が最適に行える。
Near cross D 2.9単体でも運用可能だが、同社の製造DX支援ソリューション「NAVINECT」と組み合わせて利用できる。これにより、製造工程のデジタル化を推進し、生産性や品質を向上し、作業効率化に貢献する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コンビニやドラッグストアで進む電子タグ採用、リアル店舗データ化への挑戦
流通情報システムの総合展示会「リテールテックJAPAN 2019」の「流通システム標準化の最新動向」をテーマとしたセミナーに、経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ 消費・流通政策課 係長の加藤彰二氏が登壇。「サプライチェーン流通・消費情報の活用へ向けた取り組み」と題して「電子タグ1000億枚宣言」をはじめとする流通におけるデータ活用の方向性などについて、講演を行った。 - トレーサビリティーに必須の個体管理、モノの効率的な流通を支えるGS1の役割とは
流通情報システムの総合展示会「リテールテックJAPAN 2019」の「流通システム標準化の最新動向」をテーマとしたセミナーに、流通システム開発センター 理事の森修子氏が登壇。「デジタル化する社会とGS1の役割」と題して流通システム開発センターが果たす役割と取り組みを紹介した。 - 電池不要で貼るだけで個品管理、Bluetoothとスマホによる電子タグの革新
サトーは「リテールテックJAPAN 2019」(2019年3月5〜8日、東京ビッグサイト)において、イスラエルのベンチャー企業Wiliotが開発した、環境発電によるバッテリーレスBluetoothタグを活用した「2021年の顧客体験」を紹介した。 - リードタイムを半減、AR活用なども視野に入れる日立大みか工場の進化
日立製作所グループにおいて、さまざまなインフラの制御システムを構築しているのが大みか事業所である。総合システム工場としての位置付けを担う同工場は、スマート工場化の実証なども推進し、リードタイム半減に成功。さらにITシステムの高度化やAI活用などで進化を進めようとしている。 - エッジは強く上位は緩く結ぶ、“真につながる”スマート工場への道筋が明確に
IoTやAIを活用したスマートファクトリー化への取り組みは広がりを見せている。ただ、スマート工場化の最初の一歩である「見える化」や、製造ラインの部分的な効率化に貢献する「部分最適」にとどまっており、「自律的に最適化した工場」などの実現はまだまだ遠い状況である。特にその前提となる「工場全体のつながる化」へのハードルは高く「道筋が見えない」と懸念する声も多い。そうした中で、2020年はようやく方向性が見えてきそうだ。キーワードは「下は強く、上は緩く結ぶ」である。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。