複雑な間取りでも高精度マッピング、独自アルゴリズム搭載のロボット掃除機:ロボット開発ニュース
SB C&Sは2020年9月8日、中国のロボットメーカーであるBeijing Roborock Technologyが開発した家庭用ロボット掃除機「Roborock S6 MaxV」を2020年9月11日から発売すると発表した。LDSレーザーに独自の経路算出アルゴリズムを組み合わせて、複雑で広い間取りの部屋でも高精度のマッピングを実現しつつ、最短距離で掃除する。
SB C&Sは2020年9月8日、中国のロボットメーカーであるBeijing Roborock Technology(以下、Roborock)が開発した家庭用ロボット掃除機「Roborock S6 MaxV」(以下、S6 MaxV)を2020年9月11日からECサイトを通じて発売すると発表した。LDSレーザーに独自の経路算出アルゴリズムを組み合わせることで、複雑な間取りの部屋でも高精度のマッピングを実現しつつ、障害物を回避しながら最短距離で掃除する。価格は税別で7万9800円。
本体の直径は35.3cmで、高さは9.65cm。重量は3.6kgとなる。吸引力は2500Pa(真空度)で、最長稼働時間は180分となっている。2眼カメラに加えて、CPUとしてQualcomn APQ8053-Liteプロセッサを搭載。これらに加えて独自開発のAI(人工知能)「ReativeAI」を用いることで、周囲の障害物など物体を認識して、その種類を把握する。2眼カメラ下部には赤外線補助ライトを搭載しており、暗闇でも障害物を十分認識できるという。
把握可能な物体の種類は電源コードなどのケーブル類や履物、体重計、台座、布類、ちり取り、ペットの糞など。認識可能な障害物の種類は今後のアップデートで追加予定だとする。物体の種類に応じてS6 MaxVの回避行動は変化し、例えば、履物は近くまで接近してから回避するが、電源コードなどは10cmの距離を空けて回避する。これによって接触によるトラブルを回避しつつ、ごみの取りこぼしを防ぐ。
「間取りが複雑」でも独自アルゴリズムで最短経路を見極め
S6 MaxVの最大の製品特徴が、リアルタイムかつ高精度で室内をマッピングし、最短ルートで効率的に掃除を行う機能だ。LDS(Laser Direct Structuring)レーザーとナビゲーションシステムに、独自開発の経路算出用アルゴリズムを組み合わせることで実現した。マッピングで作成した地図と実際の間取り図との一致率は99%を実現するという。これにより、部屋の間取りを正確に把握した上で効率的に掃除を行うことが可能だ。
SB C&S IoT・サービス事業本部 IoT 事業推進本部 パートナー推進室 室長代行の東俊介氏は「LDSレーザーセンサーは光の反射を利用するため、リアルタイムでのマッピングを可能にする点で、カメラやジャイロセンサーを用いたマッピング手法よりも優れている。精度も高く、99%という高い一致率はLDSレーザーの採用によって可能になった」と語っている。
経路算出用アルゴリズムは、間取りが複雑で、家具や障害物が置いてある部屋でも最短掃除経路を適切に見極められるようにするためにRoborockが独自に開発した。
SB C&Sの担当者によると「LDSレーザーでマッピングをする他社のロボット掃除機は『間取りが四方形で、家具や障害物がほとんどない部屋』での経路算出に適したアルゴリズムを搭載している。S6 MaxVはこうしたアルゴリズムに加えて『間取りが複雑で、家具や障害物がある部屋』での経路算出に適したアルゴリズムも併せて組み込んだ。これによってマッピング可能な面積が最大2200m2以上にまで拡張された他、現在地を素早く特定することも可能となった。また、マッピング中に人やペットなどが動いても、精度に影響が出ず、高精度でマッピングが行える」という。
国内でのロボット掃除機の普及展望について、同担当者は「これまで日本国内でロボット掃除機が普及しづらかった要因は大きく分けて2つある。1つは国内の家環境の問題で、比較的狭い家が多いこと。もう1つは床に置いた物を片付けないと、ロボットが十分に掃除できないという点だ。家環境そのものを変化させることは難しいが、後者についてはS6 MaxVのLDSレーザーと経路算出アルゴリズムによって解決できるものと考える」と語った。
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