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海運もゼロエミッション、燃料電池で動く「日本初」の船舶が2024年竣工:燃料電池車(3/3 ページ)
日本郵船、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、ENEOS、日本海事協会の5社は、2020年9月1日に「高出力燃料電池搭載船の実用化に向けた実証事業」を開始した。水素で発電する燃料電池を船舶で使用し、温室効果ガスの排出削減に取り組む。同日、5社合同の記者説明会を実施し、燃料電池船の実証実験における意義と概要を説明した。
建造する燃料電池船は「シーバス」相当
川越氏は、5年間を予定している実証事業において解決すべき開発課題として次の項目を挙げている。
- 船陸間燃料供給機器の開発、運用
- 舶用高出力燃料電池の開発
- 船内燃料制御システムの開発
- 安全基準、法整備、運行手法の確立
- 舶用向け水素に関連する技術開発
併せて、燃料電池関連技術を導入して実証する船舶も建造する。この実証事業では、船舶における水素と燃料電池の多用途展開を目指すため、実証のための船舶も商業化に向けた汎用(はんよう)性を持たせた仕様になるという。そのため、「平水用中型観光船」を実証船型として選定したと川越氏は説明している。
建造する船舶は全長は約25mで幅は約8m、総トン数は約150総トン、旅客定員は100人程度になる。全長と幅は横浜港で運航している「シーバス」と近いサイズだ。搭載する燃料電池出力は約500kW相当で、液化水素を積み込む予定だ。実証事業では、この中型観光船で検証を進めることで、499総トンクラスの内航船で使用できる燃料電池の舶用技術のめどが立つとしている。
建造を予定している実証運航船。なお、同サイズで同じ旅客定員の「シーバス」が42〜46総トン程度たが、日本郵船では「複数階構造とすることで容積を増やす予定」と説明している(クリックして拡大) 出典:日本郵船
各社の分担
この実証事業では、船舶のライフサイクル全てを対象とする。そのため、日本郵船をはじめとした事業参加企業は、開発、海洋法や船舶船員関連法への対応、実証船建造、燃料供給、実証運航の中からそれぞれの得意とする分野を担当することになる。
日本郵船
- プロジェクトリーダー
- 実証船の船型開発と造船所選定
- 新造発注と建造監督、実証運航(運航はグループ企業の新日本海洋社が担当する)と運航マニュアルの策定整備
- 法規制対応
東芝エネルギーシステムズ
- 高出力燃料電池システムの舶用実装に向けた研究開発
- 船上運用技術の開発
川崎重工業
- 燃料として使う水素(現時点では液化水素を想定している)をためる船内タンクを含めた船内燃料供給システムの開発
- タンクや燃料電池などの“燃料系”制御を担うエネルギーマネジメントシステム(EMS)の開発
ENEOS
- 港湾における燃料貯蔵タンクとそこから船舶に燃料を供給する技術開発と運用方法の策定
日本海事協会
- 燃料電池を船舶で安全に使うための技術検証とそのガイドラインの策定
- 法規制対応を担当する日本郵船の支援
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