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CO2排出ゼロの物流拠点、風力発電と燃料電池フォークリフトで実現燃料電池車(1/2 ページ)

岩谷産業と東芝、トヨタ自動車は、CO2排出量の少ない水素のサプライチェーンを京浜臨海部で構築する実証実験を行う。横浜市の風力発電の電力で製造した水素を、横浜市や川崎市に立地する企業の物流拠点で稼働する燃料電池フォークリフトに供給する。2017年度から本格的に実証運用を始める。

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 岩谷産業と東芝、トヨタ自動車は2016年3月14日、CO2排出量の少ない水素のサプライチェーンを京浜臨海部で構築する実証実験を行うと発表した。横浜市の風力発電の電力で製造した水素を、横浜市や川崎市に立地する企業の物流拠点で稼働する燃料電池フォークリフトに供給する。神奈川県、横浜市、川崎市も取り組みを後押しする。2017〜2018年度で本格的に実証運用を開始し、実証実験を通して事業可能性やコストを検討するとともに他地域での水素活用の展開につなげる。

プロジェクトの実施体制。トヨタ自動車は事務局で、水素の製造を東芝とトヨタタービンアンドシステム、貯蔵と輸送を岩谷産業が、利用は横浜市と川崎市、豊田自動織機が携わる
プロジェクトの実施体制。トヨタ自動車は事務局で、水素の製造を東芝とトヨタタービンアンドシステム、貯蔵と輸送を岩谷産業が、利用は横浜市と川崎市、豊田自動織機が携わる (クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

電動フォークリフト対燃料電池フォークリフト

豊田自動織機とトヨタ自動車が共同開発した燃料電池フォークリフトの実用モデル仕様 豊田自動織機とトヨタ自動車が共同開発した燃料電池フォークリフトの実用モデル(左)と仕様(右) (クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 今回の実証実験では民間企業4社の4拠点で稼働時にCO2を排出しない燃料電池フォークリフトを利用するが、一見すると企業が高価な燃料電池フォークリフトに切り替えるメリットはあまりない。フォークリフトは既に電動化が進んでいるためだ。

 フォークリフトの市場規模はグローバルで100万台、日本国内で8万台となっている。新興国ではガソリンフォークリフトの割合が高いが、先進国では電動フォークリフトのシェアが6〜8割を占める。

 稼働時のCO2排出量がゼロなのは電動フォークリフトも燃料電池フォークリフトも共通だが、燃料電池フォークリフトは充電やバッテリー交換の負担を軽減できる点がメリットとなる。

 電動フォークリフトの充電は8時間程度かかる。自動車とは異なり、バッテリーを交換して連続稼働させることもできるが、バッテリーは1トンと重く、交換作業に20分程度要する。バッテリー自体は100万円前後と高額のため、交換用に複数を保管したり劣化で買い替えたりする上でもコストがかかる。昼夜で稼働しフォークリフトの使用時間が長い物流拠点では、充電による稼働率の低下やバッテリー交換の負担が大きくなる。

燃料電池フォークリフトに水素を充填する様子。3分で充填が完了するのが電動フォークリフトにないメリット
燃料電池フォークリフトに水素を充填する様子。3分で充填が完了するのが電動フォークリフトにないメリット (クリックして拡大)

 燃料電池フォークリフトは、3分間で8時間の稼働に必要な水素を充填できるため、従来の電動フォークリフトで必要だった充電作業やバッテリー交換の負担をなくせる。また、交換用のバッテリーを保管するコストも省ける。

 「稼働時間が短く充電する時間に余裕のあるフォークリフトでは導入の余地は少ないかもしれない。しかし、充電の手間を敬遠してガソリンフォークリフトを使っている場合はCO2排出削減効果が大きいし、稼働時間が長い電動フォークリフトでは負担軽減のメリットがある。初期費用は電動フォークリフトよりもかかるが、長い目で見れば投資を回収できる」(豊田自動織機)。また、現在、米国では2万台の燃料電池フォークリフトが利用されているという。

風力発電による水素の製造と燃料電池フォークリフトの利用によって電動フォークリフトと比較しても大幅にCO<sub>2</sub>排出量を減らせる
風力発電による水素の製造と燃料電池フォークリフトの利用によって電動フォークリフトと比較しても大幅にCO2排出量を減らせる (クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 今回の実証実験は、火力発電による電力で電動フォークリフトを稼働させる場合と比較して1日のCO2排出量を86%減となる16.3kgに抑える目標だ。CO2を排出するのは、ディーゼルハイブリッドの水素充填車の移動時だけとなる。

 将来的には水素充填車も、再生エネルギー由来の電力で製造した水素で走る燃料電池車に置き換え、CO2排出ゼロのサプライチェーンを目指す。

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