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エンジニアがコンサル力を身に付けるための6+1つのステップVUCA時代のエンジニアに求められるコンサルティング力(5)

VUCAの時代を迎える中、製造業のエンジニアという職業は安泰なのだろうか。本連載のテーマは、そういった不確実な時代でもエンジニアの強みになるであろう「コンサルティング力」である。第5回は、現場のエンジニアがコンサル力を身に付けるための6+1つのステップのうち、0番目と1番目について説明する。

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 今回からは、いよいよ現場のエンジニアの皆さんがコンサル力を磨いていくための具体的な方法を、順を追ってご説明していきます。

⇒連載「VUCA時代のエンジニアに求められるコンサルティング力」バックナンバー

 コンサル力を磨いていくステップはおおよそ以下のようになります。

  • (0)ベースとなる心構え
  • (1)情報を集める
  • (2)情報を整理する
  • (3)仮説を立てる/問題を見つけ出す
  • (4)解決策の方向を決める
  • (5)提案をする
  • (6)実行する

 (1)〜(6)の6つのステップに加えて、(0)として「ベースとなる心構え」という項目を立てたのは、これを明確にしておかないと、どれだけ方法論を学んでも真のコンサル力を身に付けられないからです。備えておいていただきたい心構えは3つです。

  1. 興味・関心を持つこと
  2. 能力を磨きたいと思うこと
  3. 素直であること

 これら3要素は、プロのコンサルタントに必要とされるものですが、一般的に仕事ができる人の3要素でもあります。

 1つ目の「興味・関心を持つこと」は、いろいろなものに関心を持てること、好奇心があることを意味しますが、単に興味を持つだけでなく、「自分にとっての興味の方向性」を把握しておくことが必要です。それがのちの「解決策の方向性」につながっていくからです。

 人の興味の方向性は、多くの場合「有形=モノ」と「無形=コト」に分けられます。一般にエンジニアにはモノ、すなわちハードウェアやプログラムに興味がある人が多いのですが、中にはコトである仕組みやルール、コミュニケーションの方法に興味がある人もいるはずです。自分はどちらにより関心が強いのかを把握することが大切です。

 2つ目の「能力を磨きたいと思うこと」は、コンサルティングに必要な考え方やスキルを学ぼうとする意欲があるかどうかということです。人間にはもって生まれた能力もありますが、訓練によって身に付けられる能力もあります。後者の能力を現場で鍛えていこうとする姿勢が必要です。

 3つ目の「素直であること」は、自分の感情や上司からの指示に対して素直であるのではなく、「事実」に対して素直であるということです。思い込みやバイアスなしで事実を受け入れる姿勢がコンサルティングには欠かせません。

「大きな情報」と「小さな情報」

 さて、以上の心構えを踏まえた上で、コンサル力を磨いていくステップの(1)「情報を集める」作業に取り掛かっていきましょう。情報には「大きな情報」と「小さな情報」の2つがあります。「大きな情報」とは、自分たちの会社や部署を俯瞰(ふかん)することで得られる情報です。これはおおむね3つに分けられます。すなわち「自分たちの会社はどういう企業か」「市場はどこか」「競合はどこか」です。

 なぜ、このような情報を集めることが必要かといえば、社会やビジネスの環境が日々変化し続けているVUCAの時代にあっては、自社のポジションも市場も競合も決して安定したものではないからです。例えば、自動運転の技術が進むことによって、自動車メーカーの競合は他の自動車メーカーだけではなくITプラットフォーマーになりつつあることはご存じの通りです。

 一方の「小さな情報」は日々の業務の中で直面した課題に関わる情報です。課題に感じたことがあっても、それをすぐに解決しようとしてはいけません。情報を収集する中で、それが本質的な課題ではなかった、あるいは本当の課題は他のところにあったことが明らかになる場合が往々にしてあるからです。

 また、「大きな情報」を収集する中で、身近な課題の捉え方が変わる場合もしばしばあります。それによって「小さな情報」の収集の方向性も変わってくるでしょう。

 情報ソースには、インターネット、書籍や雑誌や新聞、社内資料などさまざまなものがありますが、見落とされがちなのは「人」です。社内の専門家や上司、あるいは同僚などへの対話によって得られる情報が実は大変重要であることを強調しておきたいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 太田 剛

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大手メーカーへ新卒入社し、エンジニアとして勤務後、2005年にVSNへ中途入社。エンジン、トランスミッション、エアーバッグ、カーオーディオ、ブレーキ、メーターなどの頭脳部分となる車載用マクロコンピュータの開発に従事後、エンジニア全体の組織の管理職としてエンジニアの組織化を推進。

現在は、VIコンサルティングオフィスの室長として、コンサルティングサービスを促進するとともに、取引先企業の経営層に対する戦略コンサルティングサービスを担当する他、問題解決の育成プログラムの構築から実施を行う。

Modis VSN https://www.modis-vsn.jp/
(株式会社VSNは、事業ブランドの名称をModis VSNに変更しました)

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