設計者はどんな視点で設計者CAEを進めていくべきか【ケース3:構造物の熱応力連成解析】:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(4)(3/3 ページ)
初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第4回のテーマは「熱応力連成解析」だ。
熱応力連成解析の結果
解析結果は、図6の通りです。
解析結果をコンター図で表示し、変形の方向を確認します。その際、静止画ではなくアニメーション表示で確認すると変形の状態がよく分かります。また、今回のテーマとして検証したかったのは、ヒータープレート上面の状態なので、その方向(SOLIDWORKS座標系でY方向)の成分を確認します。
さらに、加熱有効エリア内における上面の節点位置のY方向変位を、図7の矢印方向に5[mm]間隔でプロットしました(要素サイズ5[mm]の節点位置)。SOLIDWORKS画面上でプロットし、その結果をCSV出力してExcelに取り込み、グラフ化しました(図8)。
図8のグラフから、加熱有効エリアの高さは最小0.021[mm]、最大0.03[mm]の変位が生じ、その差が0.009[mm](=9[μm])であることが分かります。
次に、応力について確認します(図9)。
解析では、ネジ取り付け穴に固定の拘束を設定したため、この位置周辺で使用している材料の降伏応力(1.723×E8[N/m2])を超えるvonMises応力(2.797×E9[N/m2])を検出しました。これは材料の剛性上、問題視しなければなりません。なお、応力は図10のような分類を行った上で評価できます。
さらに「応力スポット診断」という機能から、応力特異点を調べてみましたが検出されませんでしたので、解析上の問題ではなく、詳細設計を進めていく上で、ヒータープレートの固定方法を考えていく必要があります。
以下、これまでの解析結果を踏まえた考察となります。
■解析結果からの考察
前回の温度分布の状態と、それに伴う有効加熱部分の熱膨張の状態は許容範囲だと考えられるが、固定部の応力の状態は改善の必要がある。
仮に固定しなければ、線路のレールの例と同じで全体が膨張することになるが、これは装置化を行う上で現実的ではない。この後の対策としては、アセンブリ(ユニット)を設計する際、固定部が完全に拘束されない方法を採用しなければならない。
今回までは、単一材料、1部品を対象にした解析を行ってきましたが、次回はアセンブリの解析について取り上げます。お楽しみに! (次回に続く)
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