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インテルの新プロセッサ「Tiger Lake」、トランジスタやメタル改良で高性能化組み込み開発ニュース(2/2 ページ)

インテルは2020年9月3日、報道関係者向けのプレスセミナーをオンライン開催し、動作周波数の向上と消費電力の削減を同時に達成する「SuperFinプロセステクノロジー」や、新グラフィック機能などを実装した第11世代インテル Core プロセッサ ファミリーを発表した。同プロセッサの開発コード名は「Tiger Lake」である。

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トランジスタとメタルスタックを改良

 Tiger Lakeの技術的な特徴の1つがSuperFinテクノロジーである。同テクノロジーのポイントはトランジスタの高性能化と、メタルスタック(配線層)の改良の2点に分けられる。

 Tiger Lakeのトランジスタは、ゲートピッチの間隔を広げることで駆動電流を増大させることに成功している。電力供給量を増やすことで、ドライバビリティなどの向上を図る。またソース/ドレインの改良により、抵抗軽減などにより性能を向上させたという。

ゲートピッチ間隔調整などを通じてトランジスタの性能自体を向上[クリックして拡大]出典:インテル
ゲートピッチ間隔調整などを通じてトランジスタの性能自体を向上[クリックして拡大]出典:インテル

 メタルスタックにおいては、トランジスタに近い低層レイヤーには新たにメタルレイヤーを追加することで、メタル同士の接合部分(ビア)の抵抗値を30%低減し、速度向上を実現した。また、高層レイヤーではキャパシターの静電容量を4倍にまで増加させることで、大電流を流した際にも安定した電力供給や、電流の振れ幅の抑制による高速でのトランジスタとのやりとりを可能にした。

低層/高層レイヤーそれぞれに特徴的な工夫を追加[クリックして拡大]出典:インテル
低層/高層レイヤーそれぞれに特徴的な工夫を追加[クリックして拡大]出典:インテル

 ベンチマークによる性能測定をしたところ、Tiger Lakeで最上位モデルとなる「Core i7-1185G7」は、競合となるAMDの「Ryzen 7 4800U」よりも演算性能では28%、グラフィックス性能は67%、AI機能においては約4倍の性能差を達成したという。この他、ビジネスアプリケーションを用いたワークや、画像/映像編集などのクリエイティブ用途、ゲームやネットブラウンジングにおいても強力な性能を発揮する。

「Core i7-1185G7」とAMDの「Ryzen 7 4800U」のベンチマーク比較[クリックして拡大]出典:インテル
「Core i7-1185G7」とAMDの「Ryzen 7 4800U」のベンチマーク比較[クリックして拡大]出典:インテル

 なお、このトランジスタはIris Xe グラフィックスにも使われており、1W当たりの性能を大幅に向上させることに成功しているという。

「Project Athena」の「第2章」も発表

 インテルは2019年から継続的に取り組んでいる、長時間バッテリー駆動が可能で高応答性の薄型軽量ノートPCを開発する「Project Athena(アテナ)」について、その「第2章」となる「インテル Evo プラットフォーム(開発コード:Ginger)」を発表した。

「インテル Evo プラットフォーム」の概要説明図[クリックして拡大]出典:インテル
「インテル Evo プラットフォーム」の概要説明図[クリックして拡大]出典:インテル

 従来の薄型ノートPCと比較するとバッテリー駆動時のレスポンスを従来比約2倍にまで向上させた他、バッテリー駆動時間はフルHDのディスプレイ表示であれば9時間にまで向上。高速充電の性能も向上しており30分以下の充電で、フルHDのディスプレイ表示であれば4時間の稼働が可能となる。スリープ状態から1秒未満で起動する上、データ通信環境を向上させるWi-Fi 6やThunderbolt 4などに対応することで、あらゆる場所やシーンでノートPCをさらに快適に活用できるようにする。

 AIを用いた高速かつ安定的な通信接続に加えて、音の処理性能も向上したため、PC間での通話の際にノイズを気にすることなく会話できる。快適なビデオ会議環境を提供することで、リモートワークやオンライン授業などの用途で法人市場や教育市場への拡大を図っていく計画だという。

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