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発電所並みの燃料電池バスから「電気のバケツリレー」、トヨタとホンダで実証実験燃料電池車(2/2 ページ)

トヨタ自動車とホンダは2020年8月31日、可搬型の外部給電機やバッテリーと、燃料電池(FC)バスの給電機能を組み合わせた移動式発電・給電システム「Moving e」を構築し、実証実験を開始すると発表した。実証実験は2020年9月からスタートする。対象地域は商用車向けの水素ステーションがある関東地域となりそうだ。

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電源を屋内に持ち込めることを重視

 Moving e全体では、FCバスのCHARGING STATIONが1台、Power Exporter 9000が2台、LiB-AID E500が20台、モバイルパワーパックとMobile Power Pack Charge & Supply Conceptは36セットを使用する。ホンダはガソリンやカセットボンベで作動する発電機をラインアップに持つが、これらは一酸化炭素が多く発生するため屋内では使用できない。屋内に持ち込める蓄電機や給電機の活用を進めることもMoving eの狙いとなる。

中小型の電源を屋内に持ち込み、家電を使うイメージ(左)。屋外や車内でもさまざまな用途に対応する(右)(クリックして拡大)

 ホンダのモバイルパワーパックは、バッテリーを稼働率の低い製品に専用で使うのは“もったいない”という考えの下、汎用(はんよう)性を持たせたバッテリーだ。電動バイクから外したモバイルパワーパックを住宅に持ち込むなど、さまざまな用途で共用する前提で開発した。また、電動バイク本体とバッテリーを分けて販売してユーザーが所有するのは電動バイクの本体のみとし、バッテリーはその都度利用する形にすることで、所有コストを下げる効果もある。


モバイルパワーパックで走る電動バイク(クリックして拡大)

 モバイルパワーパックを駆動用バッテリーに使用する電動バイクは既に国内外で市場に出ている。東南アジアではモバイルパワーパックを充電するステーションの実証実験も実施。バッテリーの電力の残量が少なくなったときに、充電済みのバッテリーと使用済みのものを充電ステーションで交換しながら使用するという試みだ。実証実験を実施。充電の待ち時間がない手軽さが好評だとしている。

 モバイルパワーパックの充電ステーションは、2020年9月にスタートする大阪府内の実証実験でも導入する。充電ステーションは定置用蓄電池としても機能するため、設置するコンビニエンスストアでは停電時にレジの稼働などを継続する上で役立つとして好意的だという。


 Moving eの取り組みは、電動車活用社会推進協議会で トヨタ自動車 FC事業領域 統括部長の濱村芳彦氏と本田技術研究所の岩田氏が意気投合したことで始まった。台風や豪雨、地震など災害で起きる停電が長期化する例が多いことや、働き方の多様化が進む中で、オフィスだけの災害対応では社員を守れなくなることを踏まえ、協業を決めた。

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