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プラントのDXを加速、統合を決めたAVEVAとOSIsoftの考えモノづくり最前線レポート

産業用ソフトのAVEVAは2020年8月25〜26日、オンラインイベント「AVEVA World Digital」を開催。同年8月25日にAVEVAは産業用IoT基盤を手掛けるOSIsoftの買収を発表しているが、同イベント内のメディアラウンドテーブルでは、AVEVAのCEOのクレイグ・ヘイマン氏とOSIsoftの創設者でCEOのパトリック・ケネディ氏が対談を行った。本稿ではその内容を紹介する。

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 産業用ソフトのAVEVAは2020年8月25〜26日、オンラインイベント「AVEVA World Digital」を開催。同イベント内で、AVEVAのCEOのCraig Hayman(クレイグ・ヘイマン)氏とOSIsoftの創設者でCEOのPatrick Kennedy(パトリック・ケネディ)氏が対談を行った。

 イベント初日となる8月25日には、AVEVAによるOSIsoftの買収を発表している。プロセス製造業をメイン顧客とし、CADなどさまざまな産業用ソフトウェアを展開するAVEVAと産業用IoT基盤「PI System」が有名なOSIsoftの統合は、電力や石油・ガス、製薬、化学産業のデジタル化などに大きな影響を与えると見られている。本稿では統合発表後の両氏による考えを紹介する。

次の40年を見据えた統合

ヘイマン氏 まずOSIsoftのことを紹介してください。

ケネディ氏 われわれがOSIsoftを創立したのは1980年で、2020年で41年目となるソフトウェア企業としては古い会社となります。その頃はPCがようやく登場した時期で、企業には部門ごとにIBMのコンピュータが設置されているという状況でした。こういう環境でビジネスを行っていると何が起こるかというと、外に出るとデータが全くないという状況になるわけです。そこでデータをもっと活用できるように自分たちでシステムを構築しました。そして80年代初めにビジネスモデルを変更し、その作ったシステムを売るソフトウェア会社になりました。それ以来成長を続け、特に電力や鉱業、石油ガス業界などに多くのシステムを提供しています。

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OSIsoft CEOのケネディ氏(左)とAVEVA CEOのへイマン氏(右)(クリックで拡大)

ヘイマン氏 OSIsoftと(OSIsoftが展開する)「PI System」は業界にとって宝石のような存在だと思います。AVEVAとOSIsoftが一緒になる意味をどう考えていますか。

ケネディ氏 ある本で企業の寿命について紹介されていました。Fortune 500企業の寿命は一昔前までは40年くらいでしたが、最近は7年くらいになっているといいます。私はそれを読んで衝撃を受けました。われわれは創業41年目を迎えていますが、次の40年を見た場合、さらにアグレッシブである必要があると考えたのです。また、企業としての定住先を見つける必要もあると考えました。そこで、売却先としてAVEVAを選びました。AVEVAは産業領域を中心に据えたソフトウェア企業で、われわれとの親和性も非常に高いと考えたからです。

ヘイマン氏 買収の手続きが完了した後には、あなたには会長としての新たな役割がありますよ。また、統合後の企業における最大の個人投資家としての役割もあります。いずれにしても一緒に新たな取り組みを進められるのが楽しみです。

産業領域のDXを加速

ヘイマン氏 デジタル化の状況についてはどう考えていますか。今後数年間で顧客にどのような影響を与えると考えていますか。

ケネディ氏 われわれは活動の最初からデジタル化を進めてきました。IoT(モノのインターネット)などが普及するような動きを見ても、OSIsoftで30年間前から取り組んできたこととそれほど大きな違いがあるとは思いませんでした。

 ただ、範囲と規模は各段に大きくなったと考えます。今起きていることは「全てが」デジタル化しているということです。例えば、われわれの日常生活を考えても、宅配の中でバイクが今どこにいるのかをGPSで検知して報告してくれたり、スーパーマーケットで自動決済により現実のお金を払うことなく商品を持って外に出ることができたりします。

 これらが指し示すものは、データが膨大な価値を生むということです。そして、われわれがそれを取り扱っているということです。つまり、製油所での大きなパイプの動かし方や、鉱床から適切な鉱石を取り出す方法の知識とそれに伴うデータは、非常に大きな価値があるということです。われわれはずっとこの領域で取り組みを進めてきましたが、そういう意味では従来と何も変わらないといえるでしょう。

 逆にAVEVAとしてデジタル化についてどう考えていますか。

ヘイマン氏 抽象的な話になりますが、われわれの取り組みは川下りの旅のようなものだと考えています。川下りでいくつもの滝を越えて、時にこれらに投げ出されたパートナーや顧客企業をその度に助けあげて旅を続けていく。デジタル化はそういう旅に例えられるとものだと考えています。このデジタルの旅を続けて得られる体験こそが重要だと考えています。

ケネディ氏 面白い考えですね。デジタル化で重要になる技術にはどのようなものがあると考えますか。

ヘイマン氏 既にコアとなるような考え方があり市場もあります。産業用IoTやインダストリー4.0などの他、デジタルツインやデジタル変革(DX)などさまざまな概念などが示されています。しかし、われわれが対象とする産業領域はデジタル化の浸透がそれほど進んでいません。現在はダイナミックにデジタル化を進める重要な局面だと考えています。

 その中でもDXが重要だと考えています。データとデータ分析を使えば、顧客の運用コストを大幅に低減でき、その節約分を顧客ビジネスに還元できます。こうした産業領域のデータ活用を考える場合、産業機器などを提供する企業、水平的な展開を行う大手ベンダーなどがありますが、AVEVAはその中間に位置する存在だと考えています。電力や流通、石油やガス、製薬などの領域を深く理解しており、これらの企業が変革を起こすのに大きな役割を果たせると考えています。

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