LiDARやソフトをパッケージ化、ZMPの自動運転開発者向けセンサーユニット:センシング
ZMPは2020年8月20日、年次イベント「ZMP World 2020」で、LiDARなどのセンサー群とソフトウェア、アプリケーションなどをオールインワンパッケージ化した自動運転車両開発者向け「ZMPセンサーユニット」を開発したと発表。同ユニットのセンサーはキャリブレーション済みで、自動運転車両に必要なソフトウェアもインストールされている。自動運転車両開発者の作業工程効率化に寄与する。
ZMPは2020年8月20日、年次イベント「ZMP World 2020」(同年8月18〜20日、オンライン)内で新製品発表会を開催し、自動運転車両開発に必要なLiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサー群とソフトウェア、アプリケーションをオールインワンパッケージ化した「ZMPセンサーユニット」を開発したと発表した。同ユニットのセンサーはキャリブレーション済みで、自動運転車両に必要なソフトウェアもインストールされている。このため、自動運転車両の開発関係者が導入すれば開発工程を効率化できる。
ZMPセンサーユニットの機器構成は、顧客の要望に応じて柔軟に変更できる。標準的な構成としては、広域単眼カメラやステレオカメラ「Robovision3」シリーズをフロント部分やバック部分に持つ他、32レイヤーの3D-LiDARをトップ部分に搭載している。この他、GNSS(Global Navigation Satellite System)や、IMU(Inertial Measurement Unit)も組み込んでいる。
Robovision3シリーズには広域と望遠に対応する4眼の「Robovision3-4Eyes」と、広域にのみ対応する2眼の「Robovision3-2Eyes」がある。Robovision3-4Eyesの計測可能距離は最大150mで、水平画角は広角部で110度、望遠部では40度。Robovision3-2Eyesの計測距離は最大40m、水平画角は110度。また、LiDARの計測距離は最大200mで、水平方向視野角は360度となっている。
また、ZMPが開発した自動運転車両向けのコンピュータ「IZAC(アイザック)」を搭載する。IZACには自動運転用アルゴリズムやOSがあらかじめインストールされている。加えて、LiDARを使って走行路面など地面を認識するソフトウェア「Ground Detection」や自己位置推定ソフトウェア、物体検出用のソフトウェアも搭載する。Ground DetectionはLiDARで取得した点群データから地面部分を削除して、自動運転に必要な車両周辺の情報だけを検出できる。今後は、点群データとステレオカメラの情報を重ねることで、坂道など地面の傾斜部分なども検出できるようにする。
ZMPセンサーユニットの開発経緯について、ZMP ロボリューション事業部長 北林綾子氏は「自動運転関連のセンサー開発者や自動運転アルゴリズム開発者が、自動運転車両開発時に抱えがちな悩みごとを解決するために開発した。例えば、センサー開発者は開発したセンサーの性能を確かめるために比較試験を行うが、そのためだけに、他社のセンサーやOSでセンサーユニットを新たに組み上げるのは手間だ。また、アルゴリズム開発者の場合には、開発したアルゴリズムを車両に実装してテストしなければならないが、実機の扱いに慣れていないと実装は苦戦しがちだ。必要なソフトウェアをあらかじめインストールしたキャリブレーション済みのセンサーセットを使えば、開発全体を効率化できる。さまざまな車両に適用可能で、必要に応じてセンサーやアルゴリズムをアドオン(追加)できるのも強みだ」と説明する。
また、北林氏は、ZMPはこれまでにもステレオカメラや単眼カメラ、3D/2D-LiDARを用いた実証実験を空港などで行っており、こうした経験を通じて蓄積してきたノウハウを、ZMPセンサーユニットの開発に取り入れているとも語った。現在、SUVなどにZMPセンサーユニットを搭載した実証実験を行っており、2021年内の製品販売を目指すという。
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