過疎地の移動手段確保にも、国交省が地域課題解決に貢献するMaaS事業を支援:モビリティサービス(1/2 ページ)
国土交通省は2020年7月31日、「日本版MaaS(Mobility as a Service)推進・支援事業」として、地域課題の解決に貢献し得るMaaS事業として38事業を選定したと発表。該当する事業に対しては、事業化に向けた実証実験を実施した際に、その経費の一部が補助金として交付される。
国土交通省は2020年7月31日、「日本版MaaS(Mobility as a Service)推進・支援事業」として、地域課題の解決などに貢献し得るMaaS事業を公募し、そのうち38事業を支援対象として選定したと発表した。選定された事業は、事業化に向けた実証実験の経費の一部について補助を受けられる。今回の公募は2019年に引き続き2回目で、前回はMaaS事業として先駆的な取り組みを行う19事業を「先行モデル事業」として選定した。
今回の公募は2020年4月17日〜6月30日にかけて実施した。主な目的は、MaaS事業の中でも、ソフトウェアやクラウドを活用して各種交通サービスと観光や商業、医療、教育、防災/減災サービスを連携させることにより地域課題の解決を図る事業を発見し、その本格的な事業開始に向けた実証実験を支援することにある。
選定された事業は、ソフトウェアやクラウドサービスの購入、開発、改修費や.実証実験の効果を検証する調査の実施費用など、実証実験に要した経費の一部について補助金が交付される。補助金額は申請した経費の2分の1を上限とする。
いずれの事業の実証実験も、過疎地域やオールドニュータウンにおける移動手段の確保や移動弱者向けの移動手段の提供、公共交通機関を利用した観光客による地域内周遊促進などを目的としている。。例えば茨城県土浦市で実施予定の「つちうらMaaS(観光客周遊促進・AI(人工知能)コミュニティバス)実証実験」では、サイクリングコース「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の観光客による利用を促進することで、レンタサイクルや観光施設、飲食店、宿泊施設への誘客を目指す。具体的な施策としては、小田急電鉄のMaaSアプリ「EMot(エモット)」を同市での実証実験で採用して、目的地への複合経路検索サービスを提供する他、施設/サービスをキャッシュレスで利用するための電子チケット発行などについても検討している。また、公道を走行できる電動キックボード「Kintone(キントーン)」やZMPの自動電動車椅子の導入も検討しており、走行試験を通じて利用可能性を検証する予定だ。
加えて、土浦市市民の新たな移動手段となり得るAIコミュニティーバスについても、その導入効果を検証するという。地域公共交通の空白地域と既存路線バスのバス停や商業/医療/教育施設間をAIコミュニティーバスを自動運転で走行させる実験内容を想定。実施に向けて、道路/交通管理者との協議を進めている。
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