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日立とPTCが製造業向けソリューションで協業、オークマやトヨタへの提案を加速製造ITニュース

日立製作所とPTCジャパンは、製造業のバリューチェーンをシームレスにつなぎ、全体最適化を実現する次世代ソリューションの提供に向けて協業することで合意した。既にオークマのDX実現に向けた取り組みを進めている他、トヨタグループ向けにITソリューションを提供するトヨタシステムズとも連携していく方針だ。

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 日立製作所(以下、日立)とPTCジャパン(以下、PTC)は2020年8月20日、製造業における製品の企画・設計から、調達、生産、保守サービスに至るまでのバリューチェーンをシームレスにつなぎ、全体最適化を実現する次世代ソリューションの提供に向けて協業することで合意したと発表した。まずは国内の製造業を対象に共同で事業を展開するとしており、既にオークマのDX(デジタルトランスフォーメーション)実現に向けた取り組みを進めている。トヨタ自動車の100%子会社で同社グループ向けにITソリューションを提供するトヨタシステムズとも連携していく方針だ。また、日本国内での実績をベースにしたグローバル展開も視野に入れている。

日立とPTCの協業のコンセプト
日立とPTCの協業のコンセプト 出典:日立

 日立は、製造業を中心としたサプライチェーン領域においてデジタルソリューションの「Lumada」を幅広く展開している。一方のPTCは、製造業のエンジニアリングチェーン領域で用いられる3D CAD「Creo」やPLM「Windchill」、産業用IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「ThingWorx」などを展開するとともに、豊富なコンサルティングの経験と知見、高度なノウハウなどを保有している。今回の協業では、日立が強みを持つ“モノをカタチにする”サプライチェーン領域と、PTCが実績を積み上げてきた“モノを企画する”エンジニアリングチェーン領域、それぞれのソリューションを組み合わせて、業務プロセス全体の最適化と顧客価値の最大化に貢献することを目指す。

 これまで日立とPTCは、住友ゴム工業の高品質・高効率のタイヤ生産システム構築に共同で取り組むなどプロジェクトごとに連携していたが、今回の協業によりさらに一歩踏み込んだ連携を進めていくことになる。

3つの次世代ソリューション

 日立とPTCは、今回の協業によって実現できる、サプライチェーンとエンジニアリングチェーンを融合した次世代ソリューションの例を3つ挙げている。

 1つ目は「バリューチェーン全体の製品トレーサビリティーの確立」である。PTCのWindchillとThingWorx、日立のMES(製造実行システム)や生産工程全体の最適化を支援するソリューション「IoTコンパス」、サプライチェーン最適化サービスなどを活用して、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンのデータをシームレスにつなぐことで、バリューチェーン全体にわたる製品トレーサビリティーを確立できるという。これにより、製品不具合発生の際における対策や影響範囲を迅速かつ正確に特定可能になる。

「バリューチェーン全体の製品トレーサビリティーの確立」のユースケースイメージ
「バリューチェーン全体の製品トレーサビリティーの確立」のユースケースイメージ 出典:日立

 2つ目は「データに基づくエビデンスベースでの製造プロセス変革と製品改良の実現」だ。収集したデータを基に、日立のAI(人工知能)技術サービス群「Hitachi AI Technology」やビッグデータ解析技術を活用して、バリューチェーン全体のデジタルツイン化と高度な分析を行うことで、エビデンスベースでの製造プロセスの変革による生産性向上や、製品改良による品質向上を実現する。

 3つ目は「ウィズ・アフターコロナ時代のリモートワーク拡大への貢献」。PTCのAR(拡張現実)開発/活用基盤「Vuforia」を用いて、リモートでの現場の製造プロセスの改善や保守業務の効率化、エンジニア教育を行うなどして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって需要が拡大しているリモートワークを製造業向けにも適用を拡大できるようにしていく。

 なお、日立とPTCのビジネスパートナーとして、オークマとトヨタシステムズがコメントを寄せている。

「これまでオークマでは、日立とはIoTを活用した高効率生産システム、PTCとはCADやPLMの構築プロジェクトでそれぞれ協創を行ってきた。今回の日立とPTCとの協業を通じて、モノづくりプロセスの革新に注力しているオークマのDXを強力に推進・加速してもらえると確信している」(オークマ 専務取締役の領木正人氏)

「トヨタシステムズは、ビジネスパートナーである日立とPTCの、“サプライチェーンとエンジニアリングチェーンを融合した次世代ソリューション提供”について歓迎する。トヨタシステムズは圧倒的な技術力と生産性を発揮し、世界のリーディングITカンパニーを目指していく。今後も引き続き、最適なソリューション提供に向けての支援を期待している」(トヨタシステムズ 社長の北沢宏明氏)

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