高速金属3Dプリンタを用いたアルミ合金造形の自動車部品試作サービス開始:FAニュース
ソディックは、高速金属3Dプリンタによるアルミ合金造形のベンチマークテストサービスを開始した。同社の高速金属3Dプリンタ「LPM325」と金属粉末「AlSi10Mg」を用いて、自動車向けに十分な強度と硬さを持つ部品を約24時間で試作する。
ソディックは2020年7月15日、高速金属3Dプリンタによるアルミ合金造形のベンチマークテストサービスを開始すると発表した。超短納期で自動車部品を試作できる。
ベンチマークテストサービスには、高速金属3D造形と基準面加工の複合加工が1台でできる、同社の高速金属3Dプリンタ「LPM325」を用いる。LPM325は、薄壁で複雑な形状の部品を造形するとともに、基準面加工など2次工程にかかる時間を短縮する複合加工機能を備える。
一例として、シリンダブロックでは1個取りが約24時間、4個取りは約86時間と高速での造形が可能で、効率良く部品が試作できる。同社でシリンダブロックを試作したところ、空隙の少ない、自動車部品に必要な強度と硬さ、力学的特性を備える部品を造形できた。
部品造形の材料となる金属粉末は、薄壁で複雑な形状の鋳造部品に広く使われているアルミニウム合金「AlSi10Mg」を使用する。AlSi10Mgは強度や硬さ、力学的特性が良好で、高い負荷がかかる部品や自動車関連の試作品用途にも使用されている。
同社は、SUS系やマルエージング鋼に加え、AlSi10Mgを始め需要が増えている他の金属粉末を積極的に取り入れ、高速金属3Dプリンタ材料の応用範囲を拡大していく。
また、従来の鋳造によるアルミ製部品から高速金属3Dプリンタ製部品への代替は、強度、耐久性だけでなくコスト面でもメリットがあるとして、試作用途以外に量産品用途での検証を進めている。
なお、ユーザーはベンチマークテストサービスだけでなく、LPM325のAlSi10Mg対応機種を別途購入することもできる。受注後、約3カ月で納品される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 金属3Dプリンタ付き複合加工機「既に方式を検討する段階は終わっている」
DMG森精機は「JIMTOF2016」において、金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機「LASERTEC 4300 3D」を出展。JIMTOF2016では多くの企業が金属3Dプリンタ付き複合加工機を出展したが、同社取締役社長の森雅彦氏は「方式をどうこうする段階は終わっている」と考えを述べている。 - 三菱電機初の金属3Dプリンタ、モジュール化による自動化で工程最適化目指す
三菱電機は「JIMTOF2018」において、同社初となる金属3Dプリンタを参考出展。単体としての技術力とともに、モジュール化した工程の組み合わせにより、工程全体で自動化を実現できる価値を訴えた。 - オークマが参入した金属3Dプリンタの複合機、工程集約の立役者は柔軟なスポット径
オークマは「JIMTOF2016」において、金属3Dプリンタ機能を備えた複合加工機を出展。ミーリングや旋削、研削加工、焼入れ、金属積層造形などの工程に1台で対応することで工程集約できる利点を訴えた。 - 金属3Dプリンタ活用3つのハードルと日本のモノづくりの今後
金属3Dプリンタ関連の技術開発が急速に進み、海外を中心に製造事例も聞こえてくるようになった今日、その動きに取り残されないよう、従来の考え方や経験にとらわれない仕事をしていくことが、今後はより重要になっていきそうだ。 - 金属3Dプリンタは量産対応とともに「誰でも使える」を目指す、ソフトウェアも続々
東京ビッグサイトで「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」が開催された。その中で金属3Dプリンタは海外を中心に10社以上の製品が並んだ。 - 足し引き自在で効果は無限大! 金属3Dプリンタと切削加工の複合機投入が本格化
「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」で大きな見どころの1つとなったのが、工作機械と金属3Dプリンタの複合機だ。金属を「足す」3Dプリンタと金属を「引く」切削加工機が組み合わさることでモノづくり現場にどういう価値をもたらすのだろうか。