ニュース
全樹脂電池を自律型無人潜水機に搭載する実証実験を開始:組み込み採用事例
APBは、全樹脂電池を川崎重工業の自律型無人潜水機に搭載する実証実験を開始した。同電池は、樹脂構成のためセルの大型化が可能で、積層時のエネルギー密度が高い。また耐水圧性を有し、無人潜水機の動力源としての活用が期待される。
APBは2020年7月20日、全樹脂電池を川崎重工業のAUV(自律型無人潜水機)に搭載する実証実験を同月に開始したと発表した。
全樹脂電池は、APBと三洋化成工業が共同開発したバイポーラ積層型の次世代型リチウムイオン電池だ。樹脂構成のためセルの大型化が可能で、積層した際の高いエネルギー密度を特徴とする。
耐水圧性も備えており、今回、APBと川崎重工業が共同で開発している耐水圧型の全樹脂電池をAUVの動力源として用いる実証実験を開始することとなった。AUVは深海などで長時間用いられるため、動力源にも高い耐水圧性が必須となる。
両社は、手始めに川崎重工業の神戸工場内岸壁の試験エリア内でAUVの出力試験を実施する。その後、連続航続距離や充電特性、耐水圧性などについてもAUV実機で確認する計画となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- リチウムイオン電池を車載用にするための幾つものハードル、そして全固体電池へ
クルマのバッテリーといえば、かつては電圧12Vの補機バッテリーを指していました。しかし、ハイブリッドカーの登場と普及により、重い車体をモーターで走らせるために繰り返しの充放電が可能な高電圧の二次電池(駆動用バッテリー)の重要性が一気に高まりました。後編では、ニッケル水素バッテリーの欠点だったメモリ効果をクリアしたリチウムイオンバッテリーについて紹介します。 - 全樹脂電池を量産へ、「リチウムイオン電池の理想構造」
次世代リチウムイオン電池を手掛けるベンチャー企業のAPBは2020年3月4日、第三者割当増資によって約80億円を調達し、「全樹脂電池」の工場設立や量産技術の確立に投資すると発表した。出資したのは、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の7社だ。 - 日産が「全樹脂電池」で技術供与、ベンチャーが定置用蓄電池向けに量産へ
日産自動車は2020年4月16日、次世代リチウムイオン電池の1つである「全樹脂電池」を開発するAPBと、バイポーラ電極構造の全樹脂電池の要素技術に関する特許やノウハウの実施許諾契約を締結したと発表した。APBは、日産自動車と全樹脂電池を共同開発してきた三洋化成工業とも同様の契約を結んだ。 - 全固体電池の硫化系固体電解質の実用化へ、出光興産が2021年から生産実証
出光興産は2020年2月18日、全固体電池向けの固体電解質の量産に向けて、実証用の生産設備を建設すると発表した。 - 村田製作所とソニーの技術を融合、容量25mAhの全固体電池として昇華
村田製作所は、「CEATEC 2019」において、「業界最高水準の電池容量を持つ」(同社)とする全固体電池を披露。これまで製品化されている全固体電池の電流容量は1mAh以下のものが多いが、同社は最大で25mAhの電流容量を持つ製品の開発に成功。2020年度中の製品出荷を目指している。 - 半導体製造プロセスで作る全固体電池は「医療用インプラント機器に最適」
英国のイリカ(Ilika)が、医療用インプラント機器向けの全固体電池「Stereax M50」について説明。てんかんやパーキンソン病の患者向けに用いられる神経刺激装置(ニューロスティミュレーター)や、健康維持のため肺動脈付近に埋め込む血圧モニターをはじめ、早ければ2021年にも医療機器メーカーの採用を見込む。