マツダの通期見通しは最終赤字900億円、2024年までの中計の見直しも:製造マネジメントニュース
マツダは2020年7月31日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比55.6%減の3766億円、営業損益は452億円の損失、当期純損益は666億円の損失となった。
マツダは2020年7月31日、2021年3月期第1四半期(2020年4〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比55.6%減の3766億円、営業損益は452億円の損失、当期純損益は666億円の損失となった。グローバルでの販売台数は前期比31%減の24.4万台、連結出荷台数は前期比63%減の11.4万台だ。6月末時点で、国内外の在庫は適正レベルに改善したとしている。地域別の販売は、中国が前年同期比13%増の6.1万台、欧州が同58%減の2.8万台、日本が同34%減の2.6万台、北米が同19%減の8.1万台となった。
営業利益の増減要因を見ると、出荷台数が前年同期比19万7000台減となったことや部用品の販売減少が大きく響き、前年同期から1044億円のマイナスとなった。一方、販促費や諸経費の効率化、品質向上による関連費用の抑制により345億円のプラスを生み出した他、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による操業停止の生産ロスを特別損失へ振り替えたことにより205億円のプラスとなった。
2021年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比16.9%減の2兆8500億円、営業損益が400億円の損失、当期純損益が900億円の損失とした。営業利益の増減要因としては、出荷台数や部用品の減少、環境規制対応費用、タイ工場の一時的な低操業などがマイナスとなるが、コスト改善や固定費などの削減、品質関連費用の減少などによって収益を改善する。削減する費用としては、広告宣伝費や諸経費、研究開発費などが対象となる。
グローバル販売台数は前期比8.3%減の130万台を見込む。地域別では、中国が前期比23%増の26.1万台、欧州が同26%減の19.6万台、北米が同3%減の38.3万台、日本が同9%減の18.4万台となる見通しだ。
経営環境を踏まえて、2019年5月に発表した2024年度までの中期経営方針は見直す。計画で掲げた売上高4.5兆円、営業利益率5%以上という目標は変更しないが、達成時期を1年延期する。
詳細については2020年秋に発表するとしているが、長期的に取り組む要素技術開発の支出を2年間凍結する他、次世代の車両アーキテクチャ2種類のうち、ラージ商品への設備投資を段階的かつ効率を重視して実施する。要素技術の開発はモデルベース開発やモデルベースリサーチで行い、実機を使ったリアルでの検証は時期を見て実施する方針だ。
新商品の導入も、需要の回復や販売に合わせて段階的に実行するという。また、海外工場の生産性を国内工場並みに引き上げるため、改善活動も加速させる。
トヨタ自動車と折半出資で立ち上げる米国アラバマ州の新工場は、COVID-19感染拡大によって工事の進捗に支障が出ており、「2020年内にぎりぎり行けるかどうか」(マツダ 取締役専務執行役員の古賀亮氏)という状況だという。
マツダは同日、新世代商品群の第3弾となるコンパクトSUV「MX-30」を2020年秋に導入すると発表した。
MX-30のパワートレインは電気自動車(EV)に加えて、直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」に独自のマイルドハイブリッドシステム「M HYBRID」を組み合わせた「e-SKYACTIV G」を用意する。2020年秋に導入するのはマイルドハイブリッドモデルで、MX-30のEVモデルは2020年度内にリース販売を予定している。
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