NTT東日本がローカル5Gオープンラボをリニューアル、サブ6GHzの対応も着々:製造業IoT(2/2 ページ)
NTT東日本は、ローカル5Gの検証環境「ローカル5Gオープンラボ」をリニューアルするとともに報道陣に公開した。5G基地局のマルチベンダー化や6GHz帯以下の周波数帯(サブ6GHz)への対応の他、農業用途での屋外検証を可能にするビニールハウスや畑などの整備も進めており、共同実証パートナーをさらに幅広く募る考えだ。
いちご栽培にローカル5Gを適用
検証ルームを使ってデモンストレーションを披露したのが、銀座農園のスマートアグリ・モビリティ「FARBOT」を用いたいちご栽培へのローカル5Gの応用である。
FARBOTは、AGV(無人搬送車)に搭載したカメラをはじめとするセンサーを用いて、遠隔操作や走行支援、画像認識による農作物の数量判断、環境データ測定などを行えるロボットである。デモンストレーションでは、2台のFARBOTを用いて、遠隔制御をローカル5Gで行い場合とWi-Fiで行う場合を比較した。ローカル5Gは、FARBOTの正面方向を撮影する4Kカメラの映像をスムーズに伝送できるとともに遠隔操作も確実に行えるが、Wi-Fiは周辺用いられている電波との干渉などにより映像伝送、遠隔操作とも不安定だった。
なお、FARBOTは、収穫に最適ないちごの数量について色彩(赤さ)を基準に判断している。この検証ルームに設置したいちごの苗の列を対象に行った収穫の数量判断では、人が目視で行った場合は106個、FARBOTの画像認識で114個だった。「ただし、判断にかかった時間は目視の3分に対して、FARBOTは15秒で済むので効率は極めて高い。今後は、昆虫の眼と同じ紫外線を用いた熟度判断技術を導入するなどして判断の誤差を小さくしたい」(銀座農園の説明員)という。
直進性の高い28GHz帯のエリア構築に役立つメタマテリアル反射板
国内通信キャリアのインフラ構築を手掛けるミライトは、直進性の高い28GHz帯を用いたローカル5Gのエリア構築ソリューションとして、メタマテリアル反射板を用いたエリア改善や、3Dスキャンやシミュレーションなどの技術を用いたエリア解析の実証実験で、ローカル5Gオープンラボを活用している。
このうちメタマテリアルは、光を含めた電磁波に対して自然界の物質にない振る舞いをする人工物質だ。ミライトは2019年から、メタマテリアル技術を展開する米国のMetawaveと共同で、ローカル5Gで用いられる28GHz帯などの準ミリ波帯を用いた電波伝搬実証実験を行っており、「メタマテリアルを使えば、小さな反射板でエリア改善ができ、28GHz帯であっても物陰などの電波の届きづらい場所でも容易にエリア化できる」(ミライトの説明員)としている。
ローカル5Gオープンラボでは、このメタマテリアル反射板を使って、屋外伝搬におけるビル陰でのエリア改善や、屋外から屋内への伝搬のエリア改善などで効果が得られることを確認している。今後は、3Dシミュレーション技術を活用したエリア設計との組み合わせなども進めていく。
NTT東日本は、ローカル5Gオープンラボを用いて、農業や物流、遠隔教育などさまざまな分野へのローカル5Gの適用を検証していく方針だ。同社が東京・蔵前や札幌、仙台などに展開するスマートイノベーションラボや、秋葉原のeスポーツ交流施設「eXeField Akiba」、次世代施設園芸に向けた自社ファームなどとローカル5Gオープンラボの連携により、ユースケースの共創を加速させるとしている。
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