ニュース
リアルハプティクスとMR技術による食品包装の空気漏れ検査システムを開発:FAニュース
情報システムエンジニアリング、慶應義塾大学、モーションリブは、リアルハプティクスとMR技術を組み合わせた食品包装の空気漏れ検査システムを共同開発した。力触覚を数値化して評価するため、人の感覚に依存しない安定した検査結果が得られる。
情報システムエンジニアリングは2020年6月18日、リアルハプティクスとMR(複合現実)技術を組み合わせた、食品包装の空気漏れ検査システムを発表した。同社と慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート ハプティクス研究センター、モーションリブが共同で開発した。
リアルハプティクスは、慶應義塾大学が発明した機械の力加減を操る技術。現実の物体や周辺環境との接触情報を装置に実装し、感触の再現や可視化、分析、遠隔操作、自動化などを可能にする。
今回、このリアルハプティクス技術を活用し、力触覚を数値化して食品包装の空気漏れを定量的に評価できるようにした。モーションリブが製造した力触覚IC「AbcCore」を搭載した器具で作業者が食品の袋をつかむと、MR技術で、作業者が装着するホロレンズに空気漏れの判定結果が表示される仕組みになっている。
これまで、スナック菓子など袋状の食品包装の空気漏れを物流センターで確認する場合、仕分けやピッキング時に人が袋を軽く押して判断していた。開発した検査システムでは、検査用の大型設備を導入しなくても、人の感覚や確認作業の熟練度に影響されない安定した検査結果が得られる。
今後、同システムを応用し、人の感覚や経験という「手作業」での判断を、定量的な力触覚情報に変換して表すことにより、属人的作業からの脱却を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 知能化、省メンテナンス性が加速する包装機器、“紙化”の流れも加速へ
2019年10月29日〜11月1日に千葉県の幕張メッセで開催された包装プロセスの総合展示会「JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)」。「きっとみつかる、あなたの包程式」を開催テーマとし、450社以上が包装機器や新たな包装プロセスなどを紹介した。包装機器業界における新たな傾向について、開催期間中に発表された「JAPAN PACK AWARDS 2019」の受賞製品を中心に紹介する。 - 第4次産業革命で変わる検査と品質向上の取り組み
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第21回となる今回は、IoTやAIを活用することで品質向上への取り組みがどのように変化するのかという点を紹介します。 - 品質不正問題にどう立ち向かうのか、抜本的解決のカギはIoTと検査自動化
2017年の製造業を取り巻く動きの中で、最もネガティブな影響を与えたのが「品質不正」の問題だろう。「日本のモノづくり」のブランド力を著しく傷つけたとされるが、2018年はこの問題にどう対応するのかという点は、全ての製造業の命題である。人手不足が加速する中、解決につながる「仕組み」や「ツール」に注目が集まる1年となる。 - CEATEC 2017ロボットレポート(後編)――双腕ロボットが大活躍
CPS/IoTの総合展示会となった「CEATEC JAPAN 2017」では、数多くのロボットが展示されていた。後編では、大学や研究機関、通信キャリア、おもちゃメーカーなどのロボット関連のブース展示の様子を紹介する。 - 3D CADで作った3Dデータを生かし切るVRとARの進化
AI(人工知能)と同じく2016年にブームを迎えたVR(仮想現実)。2017年以降、このVRが、製造業や建設業の設計開発プロセスに大きな変化を与えそうだ。AR(拡張現実)についても、「デジタルツイン」をキーワードに3D CADで作成した3Dデータの活用が進む可能性が高い。 - 「VR=仮想現実感」は誤訳!? VRの定義、「製造業VR」の現状と課題
製造業VR開発最前線 前編では、VRやAR、MRの概要、製造業向けVRの他の分野のVRとは異なる特徴、これまでの状況などを説明する。