COVID-19で進む工場のデジタル変革、シーメンスの「Xcelerator」が加速を後押し:Siemens Media and Analyst Conference 2020(2/2 ページ)
Siemens Digital Industries Softwareは2020年6月16日から17日(現地時間)にかけて、「Media and Analyst Conference 2020」をオンラインで開催した。本稿では同社 社長兼CEOであるトニー・ヘミルガン(Tony Hemmelgarn)氏による基調講演を抜粋してお届けする。COVID-19感染拡大の状況下でもXceleratorが有用であること、また新製品「Teamcenter Share」などをリリースすることを発表した。
「Teamcenter」に2つの新製品、IBMとSLMで協業へ
ヘミルガン氏はPLMソフトウェア「Teamcenter」シリーズから最近リリースした「Teamcenter Share」と「Teamcenter X」の2製品についても紹介した。
Teamcenter Shareは異なる場所やデスクトップ環境にいるエンジニアのチームがクラウド上で共同でCAD設計を進められるようにするプロジェクトコラボレーションサービスだ。一方、Teamcenter Xは文書やBOM(部品表)の管理、変更、要件管理を実現するクラウド型のPLMサービスである。
ヘミルガン氏はTeamcenter ShareとTeamcenter Xを活用することで、COVID-19で余儀なくされた従業員の分散化などの設計開発環境の変化に柔軟な対応が可能になるとしている。「CO2を排出しない電動航空機を生産するメーカーの事例を挙げたい。彼らは通常、モデリングはもちろん、機械的特性や環境要件などの分析を行う他、流体力学に関わるテストの報告書などを作成する業務を遂行する。COVID-19によってこれらの作業を自宅から実施せざるを得なくなったのだが、彼らは当社製品を活用することで、これらの体制変更を変更を7日間でやり遂げたのだ」(ヘミルガン氏)。
またヘミルガン氏はSiemens Digital Industries SoftwareとIBMとの協業についても触れた。ヘミルガン氏は「IBMとの協業で当社が目指すのは、当社の主力製品であるPLMソフトウェアなどにアフターマーケットサービスを組み合わせることで、設計からメンテナンスまでエンドツーエンドでサポートするSLM(サービスライフサイクル管理)ソリューションを実現することだ。既にソリューションの一般提供を開始しており、これを活用することで当社製品のエンドユーザーは、機器のメンテナンスなどにかかる負担から逃れて本業に集中できるようになる」と述べている。
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