日本企業の多くが未成熟、国内企業のデータ運用成熟度:製造ITニュース
IDC Japanは、国内企業におけるマルチクラウドのデータ運用成熟度調査の分析結果を発表した。データ管理におけるユーザー成熟度分布では、少数の先進的企業に対して、未成熟な企業数の割合が多いことが分かった。
IDC Japanは2020年6月8日、国内企業における、マルチクラウドのデータ運用成熟度調査の分析結果を発表した。同社が作成したデータ管理におけるユーザー成熟度分布では、二極化とまではいかないものの、少数の先進的企業に対して、未成熟な企業数の割合が多いことが分かった。
調査は、国内の従業員100人以上の企業を対象に、Webアンケートによって実施。企業のデータ運用の成熟度を、第1段階の「未整備」(データ運用の仕組みの大部分が未整備な状態)から、「途上前期」(整備途上だが、改善点が多く残っている状態)、「途上後期」(整備が進み、課題を残す部分が少ない状態)、「要件充足」(仕組みが組織全体に整い、ビジネス要件を満たした状態)、最終段階の「迅速な適応」(仕組みがシステムとして組織全体に整い、規制や競合などの環境変化に素早く対応できる状態)に分類した。
成熟度の分布は、データの利用度やクラウドとの連携状態、分析能力、人材などのリソース、データ品質の整備状況、データガバナンスの状況、データ管理ソフトウェアによる自動化といった細分化項目に、データ活用の業務への貢献度を加えて評価した。その結果、成熟度の高い先進的な企業は少数であり、未成熟の企業の割合が多いことが分かった。
同社は、「クラウドサービスの利用は大きなメリットをもたらしてはいるが、データ運用面では、マルチクラウド連携、コンプライアンス順守、コストコントロールなどの新要件が加わる。一部の企業は効果的な仕組みでデータ運用の課題に対応しているが、多くの場合、環境整備は十分とはいえず、データ運用基盤の戦略的な再構築が必要な状況だ」としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業が「DX」を推進するための3つのステージ、そのポイントとは?
製造業のデジタル変革(DX)への取り組みが広がりを見せる中、実際に成果を生み出している企業は一部だ。日本の製造業がDXに取り組む中での課題は何なのだろうか。製造業のDXに幅広く携わり、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)のエバンジェリストを務める他2019年12月には著書「デジタルファースト・ソサエティ」を出版した東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター 参事の福本勲氏に話を聞いた。 - データを世界の共通言語に、リアルタイムで製品収益を見える化する安川電機のDX
「データを世界の共通言語に」をスローガンとし「YDX(YASKAWA digital transformation)」として独自のデジタル変革(DX)を進めているのが、産業用ロボットやモーターなどメカトロニクスの大手企業である安川電機である。安川電機 代表取締役社長の小笠原浩氏に「YDX」の狙いについて話を聞いた。 - 「モノ+データ」の新たな製造業へ、成果創出のポイントは「データ専門会社」
製造業のデジタル変革は加速する一方で2020年もさらに拍車が掛かることが予想される。その中で立ち遅れが目立っていたデジタル化による「モノからコトへ」の新たなサービスビジネス創出がいよいよ形になってきそうだ。ポイントは「専門の新会社設立」だ。 - 製造業のデジタル変革は第2幕へ、「モノ+サービス」ビジネスをどう始動させるか
製造業のデジタル変革への動きは2018年も大きく進展した。しかし、それらは主に工場領域での動きが中心だった。ただ、工場だけで考えていては、デジタル化の価値は限定的なものにとどまる。2019年は製造業のデジタルサービス展開がいよいよ本格化する。 - 日本版第4次産業革命が進化、製造含む5つの重点分野と3つの横断的政策(前編)
経済産業省は2017年3月に発表した日本版の第4次産業革命のコンセプトである「Connected Industries」を進化させる。より具体的な取り組みを盛り込んだ「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」を新たに発表した。本稿では2回に分けてその内容をお伝えする。 - 第4次産業革命って結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第1回目はそもそもの「第4次産業革命とは何か」を紹介します。