日立からグローバル対応のIoT活用支援サービス、サブスクで初期費用を抑える:製造ITニュース
日立製作所は、企業のグローバルIoTビジネスの展開を支援するIoT活用サービス「Hitachi Global Data Integration」を体系化し、2020年6月30日から販売を開始すると発表した。
日立製作所は2020年6月18日、企業のグローバルIoT(モノのインターネット)ビジネスの展開を支援するIoT活用サービス「Hitachi Global Data Integration」を体系化し、同年6月30日から販売を開始すると発表した。モノからデータを収集して利活用する一連の基盤機能を備えるサブスクリプション型サービスであり、グローバル環境下でのデータの利活用のための仕組みを、初期費用を抑えながら、手軽にスモールスタートできるサービスメニューを一括して提供する。製品や設備をグローバルに出荷する製造業などに向けて展開する方針だ。
Hitachi Global Data Integrationは、グローバル環境下でのIoT技術の活用において障壁となるさまざまな課題に対応し、機器に接続された通信デバイスから送られるデータの収集、蓄積と管理、利活用を支援するシステム環境を一括提供する。具体的には、国や地域を越えてIoT技術の利活用で必要となる回線管理を行う「回線接続サービス」、グローバルにデータの収集と蓄積を行うクラウド型の「データ収集・蓄積サービス」、データレイクに蓄積した稼働情報などを可視化する「データ利活用ソリューション」という3つのサービスを標準で提供する。
初期費用を抑制しやすいサブスクリプション型サービスなので、IoT技術の活用に必要となるシステム基盤の開発と運用のコストや負荷を軽減できる。また、回線管理から利活用までの一連のシステム環境を提供することにより、手軽なPoC(概念実証)の環境立ち上げやIoTを活用した事業検討にも役立つという。
3つの標準サービス
標準サービスの1つ目となる「回線接続サービス」では、顧客が利用を検討する国の通信回線を、通信事業者の協力のもと一括提供し、回線の接続と管理を行えるようにする。従来、海外でのIoT活用に向けて通信回線を利用するには、国や地域ごとに通信事業者を調査、契約し、個々の通信事業者の備える接続インタフェース(API)に応じてシステムを構築することが必要であり、その工数と作業負荷が課題となっていた。同サービスは、あらかじめ通信事業者向けのAPIを備えており、国や地域を越えた一元的な回線の制御と管理を速やかに実現する。例えば、同サービスから、海外に出荷された製品や設備のSIM回線の開通、停止や通信状態の管理を可能とするなど、回線接続・管理に要する負荷を軽減できるという。
2つ目の「データ収集・蓄積サービス」では、膨大な数の機器や増え続けるデータ量に柔軟に対応できる、拡張性高いデータの収集と蓄積のためのシステム基盤をクラウド型サービスで提供する。高信頼でスケーラブルな分散処理を実行できるフレームワーク「Hitachi Application Framework/Event Driven Computing(HAF/EDC)」を活用し、取り扱うデータ量の増減に応じて、処理スループットを増減させてデータの収集と蓄積を効率的に行う。外部連携APIも提供し、さまざまな顧客の可視化や分析のための各種アプリケーションや社内システムなどとのデータ連携を行える。
3つ目の「データ利活用ソリューション」では、位置追跡や稼働監視、アラート管理など収集データの利活用で汎用的なニーズが高いものを標準機能として提供する。海外に出荷済みの製品や設備の位置情報を地図データとマッピングして、地域ごとの圧力や温度などの機器の稼働状態をまとめて一覧表示、グラフ化する他、異常を検知してアラートを表示して迅速な保守対応を支援するなど、データ利活用に必要なシステム環境を標準機能として提供し、新たなビジネスの創出、展開をサポートするとしている。
Hitachi Global Data Integrationは、顧客のデジタルイノベーションを加速する「Lumada」を迅速かつ容易に導入できる「Lumada Solution Hub」から提供される。価格は、初期費用が50万円、月額の基本利用料が39万6000円。基本利用料には、200台までのデバイス接続と、1デバイス当たり月10MBの通信料が含まれる。デバイス接続数が200台を超える場合には1台当たり1980円の追加料金がかかる。通信容量が月10MBを超える場合も追加料金が発生する。
この他オプションとして、個別システムインテグレーションサービス、コンサルティングサービス、データ分析サポートサービスなども提供する。
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