「Cortex-A」を超える「Cortex-X」、サムスンが採用へ:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
Armは、アプリケーション処理用の「Cortex-A78」、グラフィックス処理用の「Mail-G78」、機械学習処理用の「Ethos-N78」などモバイルデバイス向けプロセッサコアIPの新プロダクトを発表。「Cortex-Aシリーズ」をカスタマイズ開発するプログラム「Cortex-X Custom」と、同プログラムで初めて開発された「Cortex-X1」も紹介した。
「Mali-G78」のシェーダーコア数を抑えた「Mali-G68」も
Mali-G78は、新たなGPUアーキテクチャ「Valhall」を採用した第2弾モデルとなる。前モデル「Mali-G77」と比べて25%のグラフィックス処理性能向上を実現するとともに、シェーダーコア数を最大16個から24個に拡張した。シェーダーコア数の増加による性能向上をスケーラブルにし、消費電力の悪化も抑制する「Async Technology」も採用している。ピーク性能時に消費電力を30%削減する機能も追加した。機械学習の処理を実行する際の性能もMali-G77と比べて15%向上している。
内海氏が挙げた「デジタルイマージョン」をゲームコンテンツで体験できるように、背景グラフィックスの繊細な表現を行えるような描画性能向上も果たしている。代表的なゲームタイトルにおける「Smoke(煙)」「Grass(草)」「Trees(木)」などの描画性能を、Mali-G77と比べて6〜17%向上した。また、ゲーム開発者向けの機能となる、グラフィックス処理のボトルネックを抽出し最終的な最適化を可能にする「Performance Advisor」を投入する。開発環境「Mali Mobile Studio」に追加される予定だ。
さらに、Mali-G78と同じ構成でシェーダーコア数を1〜6個に絞り込んだ「Mali-G68」も発表した。「従来のミドルレンジ向けの『Mali-G5x』は、効率を優先したプロセッサの構成になっている。Mali-G68はシェーダーコア数が少ないだけなので、ハイエンドのMali-G78で用いたリソースをほぼそのままミッドレンジ向けに持って行ける」(菅波氏)という。
「Ethos-N78」は性能向上よりも構成の柔軟さが特徴
Ethos-N78も、前モデルの「Ethos-N77」と比べて大幅な性能改善が図られている。ピーク性能は2倍以上となり、同じ消費電力当たりの性能でも25%以上の向上を果たした。これら以上に大きな変革となっているのがメモリ帯域効率と構成の柔軟さである。
SRAMのメモリ帯域効率はEthos-N77比で40%以上向上している。そして、1T〜10TOPSという処理性能の幅や、SRAMの容量は1M〜4MBで変わらないものの設定可能な選択肢が増えたことなどにより90以上の構成から選択できるようになった。菅波氏は「今後も機械学習処理を行うNPUの開発ロードマップでは、メモリ帯域効率と構成の柔軟さを重視していくことになる」と述べている。
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