トヨタが医療用フェイスシールドを月4万個生産、デンソーもマスク生産開始:工場ニュース
トヨタ自動車が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で厳しい状況にある医療現場や医療用品への支援施策のうち、医療用フェイスシールドの生産状況について発表。2020年4月27日から月4万個の体制で生産を始めた。デンソーも従業員向けマスクの生産を開始している。
トヨタ自動車は2020年4月28日、同年4月7日に発表した、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で厳しい状況にある医療現場や医療用品への支援施策のうち、医療用フェイスシールドの生産状況について発表した。4月13日から貞宝工場(愛知県豊田市)で試作型や3Dプリンタを活用して週500〜600個で生産してきたが、4月27日からは元町工場(愛知県豊田市)でも生産を行うことで生産能力を約20倍となる月4万個(日2000個)に引き上げた。今後は月7万個(日3600個)レベルまで拡大する予定だ。
また、トヨタ自動車本社だけでなく、同社グループ全体で医療用フェイスシールドの生産に取り組んでいる。トヨタ自動車東日本は、4月20日から宮城大衡工場(宮城県大衡村)で月1万2000個(日600個)で生産を開始しており、既に地元である宮城県に3000個を提供した。豊田自動織機は、4月29日から共和工場(愛知県大府市)で月1万個(日500個)で生産を始める予定。これらを合計すると、4月末時点でのトヨタグループの医療用フェイスシールドの生産能力は月6万2000個となる。
これらの他にも、豊田合成、ダイハツ工業、日野自動車も医療用フェイスシールドの試作を開始しており、ダイハツ工業と日野自動車は近隣の医療機関への提供を行っている。トヨタ車体は5月中旬の生産開始に向けて検討を進めているという。トヨタ自動車本社本体が今後計画している月7万個の生産能力とグループ会社の取り組みを加味すれば、月10万個以上の生産が可能になりそうだ。
デンソーは従業員向けにマスクを生産
デンソーは2020年4月27日、COVID-19の影響によるマスク不足への対策として、同社グループ従業員向けのマスク生産を開始したと発表した。5月以降に月200万枚(日10万枚)の生産を目指す。
デンソーによるマスク生産は、トヨタ自動車が4月7日に発表した施策の1つ。製造現場を中心に社内で必要となるマスクの自主生産に向けて4月中の生産開始を目指して試作品の生産に着手しており、軌道に乗れば日10万枚の量産が可能になるとしていたが、それを実現したことになる。
なお、白物家電や携帯電話機などさまざまな製品を手掛けてきたデンソーの歴史の中でもマスク生産は初の試みとなる。自動車部品の開発と生産で培ってきた経験と技術を活用し、設備設計から製作までを全て内製で行い、社内にクリーンブースを設け、衛生面が確保された環境で生産しているという。
関連記事
- 新型コロナによる日系乗用車メーカーの国内拠点、操業予定まとめ(随時更新)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、新車需要や海外からの部品調達が受ける影響が大きくなっている。本稿では自動車メーカーの国内拠点の生産調整や休業の予定などをまとめた。情報は5月末まで随時更新する。 - トヨタも後部座席を陰圧にする車両を提供、ドライバーの感染防止で
トヨタ自動車は2020年4月21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の軽症患者を搬送する車両を千葉県に提供したと発表した。「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」をベースに、トヨタ自動車東日本 東富士総合センターでドライバーの感染防止のための開発と架装を行った。東京都内の病院などにも同様の車両を5台提供した。 - トヨタが医療機器生産をTPSで支援、グループ挙げたマスクの自給自足も
トヨタ自動車は2020年4月7日、医療現場や医療用品への支援について発表した。政府から日本自動車工業会を通じた要請に基づき、医療機器メーカーの生産性向上に協力する他、サプライチェーンを通じて医療用マスクや防護服、体温計など衛生用品の調達支援に取り組む。 - 欧州の新車生産は感染対策を最重視で再開、対策マニュアル公開の企業も
欧州の自動車メーカーやサプライヤーが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で止まっていた工場の再開に向けて、動き出した。 - 日産が新型コロナ対策支援に名乗り、3Dプリンタでフェイスシールド製造
日産自動車は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の支援の一環として、3Dプリンタを用いて医療用フェイスシールドを製造し、日本の医療現場に提供すると発表した。 - 大阪大がフェイスシールドの量産・無償配布に向けクラウドファンディング
大阪大学は、クリアファイルを取り付けることでフェイスシールドとして利用できるフレームを大量生産し、医療機関へ順次無償配布することを目指すクラウドファンディングプロジェクト「新型コロナ:命を守るフルフェイスシールドをいち早く医療現場へ」を開始した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.