低消費電力で小型ネットワーク接続機器に適した32ビットマイコンを発表:組み込み開発ニュース
STMicroelectronicsは、32ビットマイクロコントローラー「STM32L4+」シリーズに、「STM32L4P5」「STM32L4Q5」を追加した。低消費電力かつ低コストを必要とする小型ネットワーク接続型機器での利用を見込む。
STMicroelectronicsは2020年3月12日(現地時間)、32ビットマイクロコントローラー(マイコン)「STM32L4+」シリーズに、「STM32L4P5」「STM32L4Q5」を追加したと発表した。QFN48パッケージで512KBのフラッシュメモリを備えた「STM32L4P5CEU6」の参考サンプル価格は、約3.9ドル(約423円)。既に量産を開始している。
両製品とも、Arm Cortex-M4、512KBまたは1MBのフラッシュメモリ、320KBのSRAMを搭載。パッケージは48ピンから169ピンまで用意し、小型のものでは48ピンが7×7mm、64ピンが10×10mmとなっている。最大動作周波数は120MHz。ベンチマークテストでは、409 CoreMark、285 ULPMark-CPスコアを記録している。
柔軟性にも優れ、USBやアナログペリフェラル用の独立電源系統、独立したクロックドメイン、外部メモリ拡張用のOctal SPIやQuad SPIインタフェースを備える。A-Dコンバーターは最大5Mサンプル/秒で動作し、データ取得時間の最小化や消費電流の削減ができる。
低消費電力モードは全部で7種類だ。高電力効率の演算処理を行うFlexPowerControl、CPUの停止時でも高い電力効率でデータ取込みを行うBatch Acquisition Modeなどにも対応している。
セキュリティ機能として、真乱数発生器や内部メモリの読み出し保護機能などを備える。フラッシュメモリのエラー訂正符号やSRAMのパリティチェック機能は、産業や医療用途に適している。さらにSTM32L4Q5には、各種暗号技術に対応した暗号化アクセラレーターも搭載する。
メーター、センサー、フィットネストラッカー、スマートホーム製品など、低消費電力かつ低コストを必要とする小型ネットワーク接続型機器での利用を見込む。
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