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ユーザー体験を高めるデザインの力、ホンダが活用する3D CGやVRとは日本ものづくりワールド 2020(2/2 ページ)

日本ものづくりワールド2020(2020年2月26日〜28日、幕張メッセ)の特別講演に本田技術研究所 執行役員 オートモービルセンターデザイン推進担当 デジタルソリューションセンターUX担当の松橋剛氏が登壇。「価値創造におけるホンダのデザイン戦略と、デザイン開発での3D・VR技術活用の取組み」をテーマに、3D CGやVR(仮想現実)技術をフルに活用した研究と開発について、事例を交えて紹介した。

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 これらの製品をデザインする上で、ホンダではよりよいUXを提供するためのツールとして、3D-VR技術を有効活用している。以前は実物モデルや資料、イメージ動画を使ってUXデザインを想像しながら開発を行っていたが、これが3D CGやVRを用いることで、早い段階でUXを確認しながらの開発が可能となっている。

 具体的な例としては、デザイナーが描いた図(作図、設計)から、ディティールを正確にプロダクトに反映できるよう、早い段階で量産に近い製品をバーチャルに確認するという工程がある。実際に使ってみるとどう見えるか、動きを取り入れて確認、検討に用いるなど、初期段階から高精度でUXを確認、共有しながら開発を進められるメリットがある。

2017年の東京モーターショーで披露されたHonda 家モビ Concept(クリックで再生)

 また、デザインの検討では方向性の早期確立、室内空間検討では早期見極めによる精度アップ、世界各地のホンダのデザインスタジオとのデータ共有によるスピーディーな意思決定など、初期段階で繰り返しスタイリングを検討することで開発精度を高めた。さらにスタイリングだけでなく、質感やHMI(ヒューマンマシンインタフェース)を含めた体験価値を確認できるなど、顧客視点で提供したいデザインUXを早期に体感できるようになっている。

 クルマで実際に走っている動きを取り入れたUX確認には、CGの採用などによって顧客が商品を判断する目線でドライビング時の動きを評価できる環境で開発に取り組む予定だ。このほか、ASIMOの設計では、57の関節や可動域で可動ずれが少なくスムーズな形状を実現するために3D CGをフル活用し、デザイン案を動的に比較するなど、開発初期から完成イメージをビジュアル化し、動きを取り入れたUX確認をしている。

 同社には数百人のデザイナーが在職しており、「その1人1人に現場提案という形でチャンスを与えている」(松橋氏)という。そして、その能力を最大限引き出せるよう、自分の仕事とは別に、新しい価値や世界観が全員で共有できるシステム「Visual Hub」を構築した。これにより、場所や人をつなぎ活発化し、アイデアをまとめることを目指している。同社では「Honda 2030ビジョン」として、未来向けてすべての人に「生活の可能性が広がる喜び」を提供し、世界中の1人1人の移動と暮らしの進化をリードすることを掲げている。

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