眼底の約80%の領域と断層画像を1台で撮影できるレーザー検眼鏡を発売:医療機器ニュース
ニコン子会社のOptosは、眼底の約80%の領域を1回で撮影可能で、その領域の断層画像も取得できる、SS-OCT付き超広角走査型レーザー検眼鏡「Silverstone」を開発した。
ニコンは2020年3月25日、子会社のOptosが、SS-OCT(Swept-Source Optical Coherence Tomography)付き超広角走査型レーザー検眼鏡「Silverstone」を開発したと発表した。眼底の約80%の領域を1回で撮影し、任意の位置の断層画像を取得できる。同年4月1日より、ニコンヘルスケアジャパンが販売を開始した。
Silverstoneは、UWF(Ultra-Widefield)技術とSS-OCT技術を搭載する。SS-OCTは、網膜表面から強膜方向に数mm程度の深さまで断層画像を観察、測定する技術。同技術により、従来製品の1.4倍の高速撮影を可能にした。また、深達性の高い1050nmのレーザー光線を使用し、硝子体から強膜まで最大2.5mmの深さの断層画像を取得できる。
さらに、異なる波長のレーザーを使用し、合成カラー画像、眼底自発蛍光、フルオレセイン蛍光眼底造影、インドシアニングリーン蛍光眼底造影の眼底画像を撮影できる。断層画像と組み合わせることで、包括的な網膜診断のデータが取得可能だ。
超広角画像撮影の波長は、ブルーレーザーが488nm、レッドレーザーが635nm、グリーンレーザーが532nm、IRレーザーが802nm。撮影時間は0.4秒未満となる。同社は今回開発した装置により、網膜中心部から眼底周辺部の異変を捉えることで、病気の早期診断につながるとしている。
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