この状況で気になる、新年度の中途採用計画:モノづくり業界転職トレンド(19)(2/2 ページ)
新型コロナウイルスという異例の状況下において、2020年度の中途採用はどうなるのか。また、求職者はどのような観点で、どう行動すればよいか。転職コンサルタントに話を聞いた。
正しい求人情報をタイムリーに得る
では求人の情報はどのようにして得ればよいのか。
本当に「ここで働きたい!」という企業があるならば、その企業に直接聞いてみるのも一つの方法だろう。しかし採用の状況は刻一刻と変化しており、業界の全体像はそれだけでは分からない。「先週と今週では状況が全く違うし、昨日まであった求人が今日はなくなっている……ということもある。ある程度業界に精通しているエージェントに相談して、タイムリーな状況を常に把握しておいた方がいい」と関寺氏は言う。
自動車業界では生産を見合わせるという対応も出てきている。おそらく、採用にも大なり小なり影響しているだろう。しかし先が読めないとはいえ、自動車業界は、片や途上国ではインフラとしての伸びしろがあり、片や先進国では、状況が改善すればEVや自動運転に関して、持ち直しが早い可能性もある。持ち直していく時期には、当然ながら競争が起こるわけで、開発力が弱くなってしまうことに対する危機感は根強く、インフォーマルにピンポイントで求人を行うケースもある。そういう求人はエージェントに預けられるのが一般的で、Webの求人サイトなどでの公開はされない。ピンポイントの情報を得るためにも、こういう時期こそエージェントを活用すべきなのかもしれない。
関寺氏は「自動車業界以外の製造業が、今後スポット的に盛り上がる可能性もある。自分がやりたいこと、行きたい会社だけでなく、少しフレキシブルに考えた方がいいかもしれない」とアドバイスする。転職に関する正しい情報をタイムリーに得ることが重要、と言って間違いないだろう。
不景気でも転職できる?
もちろん新型コロナウイルスが収束し、景気が持ち直してから転職するという考え方もある。しかしこの状況になる以前から、景気は少しずつ下降していたことを考えると、収束したら景気が完全に戻るとも言い切れない。ならば、不景気な状況での転職はどう考えればいいのか。
「不景気でもまったく採用しないということはないが、ポテンシャル採用は難しく、企業を変える技術力を持った人材が重宝される。逆に、景気が落ち込む時期にも採用し続けている企業は『強い会社』とも言えるので、将来を見据えて、そういう企業を今選ぶのも一つの考え方」と関寺氏。不景気下での転職には、マインドチェンジも必要になりそうだ。
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