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自動車業界の転職市場、採用傾向はどうなる?モノづくり業界転職トレンド(16)(1/2 ページ)

ソニーが電気自動車を、トヨタ自動車がスマートシティ構想を発表するなど驚きのニュースで始まった2020年。これから自動車業界はどう動き、採用はどのような影響を受けるのか。転職コンサルタントに話を聞いた。

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 自動車と家電は、境目がなくなりつつある。米国ラスベガスで開催されたCES 2020で、ソニーは電気自動車のコンセプトモデル「VISION-S」を披露。トヨタ自動車は、あらゆるモノやサービスがネットにつながる都市「コネクティッド・シティ」を作る計画を公表した。

 さて2020年以降、自動車業界はどう動き、採用はどのような影響を受けるのか。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャー 関寺庸平氏の見立てを聞いた。

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クイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの関寺庸平氏

予測以上に厳しかった2019年

 2019年5月に公開した当連載で、2019年度の採用動向について関寺氏は「組み込みソフトウェア系エンジニアを中心に、基本的には活況。しかし全体としては現状維持、もしくは微減。採用基準は厳しくなり、技術面だけでなく、長期的に活躍してくれる方でなければ採用しないという傾向」と予測していた。実際どうだったのか。

 「おおむね予測どおりではあったものの、想定より少し厳しかった印象。中途採用の予定数はあっても、実際の採用は予想以上に渋く、『迷ったら採用しない』あるいは『結果的に採用予定数に達しなくても仕方がない』というマインドだった」と関寺氏は振り返る。つまり企業側は、採用予定数を達成することより、内容重視に傾いているということだ。

転職希望者への要求はさらに高まる

 では2020年、またそれ以降はどのような傾向が予想されるのか。

 「今後もソフトウェアエンジニアの需要が高いのは間違いない」と関寺氏。加えて、5Gの商用サービスがスタートする今年以降、無線通信、データベース、画像など大容量の情報処理、それらに伴うセキュリティなどのエンジニアの需要は高まると言えるだろう。

 また完成車メーカーを中心に、CADやシミュレーションなど開発を支援する最新ツールの導入が進み、サプライヤも追随し始めている。ツールを社内で普及させるために、環境整備ができる人やツールに精通している人も必要とされている。工場の自動化のための生産技術系の人材も同様だ。関寺氏は「ますます深刻化する人材不足に備えて、省人化できる環境を整備するための採用は、今後も増えていくと考えられる。逆にツールベンダー側も、自動車業界に詳しい人材を求めている」という。

 しかし便利になればなるほど重要になるのは「要素技術を理解しているか」ということ。「ツールを使えばできる」、あるいは「表面的な理解でこなしている」だけでは、応用がきかないからだ。関寺氏は「技術の本質を理解していない方は、市場価値がどんどん下がっていく。やはり基本は大事」と、苦言を呈す。

 加えて同氏が予測していたように、転職希望者への要求は高まっている。「スキルも経験も十分なエンジニアが採用されないということが起こっている。期待される技術スキルに加えて、コンピテンシーやマインドといった部分もしっかり準備する必要がある。この傾向は、引き続き強くなると思われる」(関寺氏)という。

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